AIDS文化フォーラムin横浜「宗教とエイズ」 イスラム教から初参加 2011年8月20日

 第18回「AIDS文化フォーラムin横浜」(同フォーラム組織委員会主催)が8月5日~7日、かながわ県民センター(横浜市)で開催された。「エイズの何を知っていますか?――変わる常識」をテーマに、エイズ予防や感染者への理解を深めるための講座・展示が行われ、3日間で3150人が来場した。6日には、「宗教とエイズ」をテーマにしたセッションが行われた。6回目を迎えた今年は、初めてイスラームを代表して水谷周氏(日本ムスリム協会理事)が参加し、岩室紳也氏(地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター長、医師)の司会のもと、古川潤哉(浄土真宗本願寺派浄誓寺僧侶)、宮本信代(カトリック中央協議会HIV/AIDSデスク委員)、黒鳥偉作(日基教団補教師、医師)の各氏が、性の問題や死生観について意見を交換した。

 避妊や中絶、コンドームに対する各宗教の受け止め方について、岩室氏の問いかけに、佐賀でホスピス支援や思春期支援などに関わってきた古川氏は、「仏教の教えは禁止する方向の教えではない」と述べ、「『このようにしか生きていけないわたし』を自覚しなさいというのが仏教の根本。避妊などについても、その場その場でできる限りの精一杯を尽くしなさいということでしかない」と返答。
 愛知県のカトリックの女子校で養護教員として性教育を担当してきた宮本氏は、生徒にコンドームの使い方を教えてきたことを紹介。「コンドームがあるということを知り、いざという時に使えるということを教えないと救えないと思った。女の子だけが罰せられたり、退学という時代もあった。目の前の子どもたちを放っておけなかったので、積極的に性教育をしてきた」と振り返った。
 岩室氏の問いに対しては、「何かをしてはいけないということではなく、キリストが求めたのは『互いに愛し合いなさい』ということだと思う。これは、『愛する』ということと『赦す』ということ」と答えた。
 伝道師として活動する傍ら、内科医として病院に勤務する黒鳥氏は、「プロテスタントの教えで大きなものは、『神を愛する』ことと、『隣人を愛する』ことの二つ。そうすると、違いを見出すことに意味がなくなり、むしろ共通項を追い求めていくことになる」と述べた。
 水谷氏は、同性愛・同性婚が認められていないイスラームにおいて、実際には同性愛者が多く存在していることを明かした。また、インドネシアでおよそ150のムスリム団体がエイズ問題を取り上げていることを挙げ、イスラームの特徴の一つが相互扶助であることを説明した。
 岩室氏からの「死をどのように捉えるか」との問いに対して黒鳥氏は、終末期医療に携わる自らの経験を踏まえ、「今この瞬間を生かされているということに尽きる。『死』を考えると、寿命が限定されてしまう。『助けてください』『救ってください』という祈りを足していく時に、寿命は限定されなくなる。死にいく人に対して、『あなたのいのちはまだ終わりではないし、これからも続いていくものですよ』と言って手を握ってくれる誰かがいたら、その人のいのちは〝救われている〟〝生かされている〟ということになるのではないか」と語った。
 同フォーラムは、横浜YMCAが事務局を担当し、神奈川県の共催で、毎年8月に開催されている。1994年に「エイズ国際会議」が横浜で開催されたのを機に、「市民に開かれた会議を市民の手で」をコンセプトに、エイズ問題に取り組む民間団体などが組織委員会を結成した。

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