映画「沈黙の春を生きて」米帰還兵の子どもが被災地を訪問 枯葉剤と原発に共通点 2011年10月1日

 ベトナム戦争時、400万人にもおよぶベトナムの人々に直接散布された枯葉剤。戦後35年経ち、その被害はアメリカの帰還兵、彼らの子どもたちにも広がっている。

 ドキュメンタリー映画「沈黙の春を生きて」(9月24日、岩波ホールで公開)は、自身も同じように帰還兵を夫に持った坂田雅子監督が、枯葉剤の刻印を背負ったベトナムとアメリカ、双方の子どもたちの困難を描く。

 タイトルには、レイチェル・カーソンが著した『沈黙の春』が意識されている。坂田監督は2003年、アメリカ人の夫の急死をきっかけに、枯葉剤についての映画製作を決意した。

 このほど都内で行われた記者会見には、坂田監督、本作に出演したヘザー・バウザーさん(39歳)も登壇した。ヘザーさんの実父はベトナム帰還兵。PTSDやアルコール依存症、鬱などの症状を抱えながら50歳でこの世を去った。自身の右足の膝から下と左足のつま先、両手の指が数本欠損している。バウザーさんは昨年撮影を通じ、アメリカ人枯葉剤被害者として初めてベトナムを訪問した。

 坂田監督は50年前に散布された枯葉剤が今もなお、大きな被害を呼んでいることから、「今わたしたちがしていることで50年後の未来に大きな被害を起こすことがあり得るのではないか」と述べ、「編集がほぼ最終段階にさしかかったとき、福島の原発事故が起きた。50年後の世界に目を見開いていかなくては、と思っていたことがもう起きてしまった」と回顧。

 バウザーさんは来日中、福島県飯舘村と宮城県石巻市の被災地を訪問した。枯葉剤の被害者と原発事故による被害者の共通点について、情報の欠落をあげた。

 「当時アメリカ政府はプロパガンダとして『枯葉剤は飲んでも大丈夫だよ』、という映像を流したことと同じ。決して受け身、無関心になるのではなく、正確な情報を得て行動し続けることだ。何か動き始めたらすぐに動けるように準備をしておくのは大切」

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