日本賛美歌学会 “創作”テーマに大会 2011年10月8日

 日本賛美歌学会(徳善義和会長)は「創作賛美歌」を主題に9月19日、日基教団信濃町教会(東京都新宿区)で第11回大会を開催した。「賛美歌創作の取り組み・視点・思い」「創作賛美歌の今は」「これからの創作賛美歌への提言」と題する三つのセッションでは、賛美歌の作詩・作曲・訳詩に携わる人々からの提言や、賛美歌創作に取り組むグループによる発表が行われ、会員を中心に65人が出席した。

魂に染み込む歌を
 セッション㈵では、『日本聖公会 聖歌集』に詩を提供し、訳詩にも携わった加藤望氏(日本聖公会東京聖三一教会信徒・日本語学校教師)と『讃美歌21』に曲を提供している高浪晋一氏(日本キリスト教会世田谷千歳教会員・日本基督教団讃美歌委員)が、それぞれ「創作詩について思うこと」「主を賛美するために——賛美歌の作曲における留意点」と題して発題。
 加藤氏は、「言葉は嘘をつくことがあり、裏切ることがある。しかし旋律とメロディーは決して裏切らない。そのまま心に入っていく。そのまま魂に染み込んでくる。詩が完成していなくても、メロディーが付け加えられることによって完成するのが聖歌・賛美歌かもしれない」と指摘。高浪氏は、「すべての会衆が、すぐに歌え、すぐに覚えられるような賛美歌を」ということを視野に入れて作詩者と作曲者が相談・協力し合いながら創作することが大切だと強調した。また、東日本大震災を踏まえて加藤氏が作詩し、高浪氏が作曲した賛美歌「命を預けた地が裂け」が初披露され、閉会礼拝で歌われた。
 セッション㈼では、3団体による賛美歌創作の取り組みが紹介された。福音讃美歌協会(安藤能成理事長)は、「あたらしい讃美歌の創作への取り組み」と題して、来年春に刊行予定の『教会福音讃美歌』を紹介。約500曲収録予定の同歌集の中から創作賛美歌2曲を披露した。2005年に発足した同協会には現在、日本同盟基督教団、日本福音キリスト教会連合、イムマヌエル綜合伝道団の3教派が正会員として加盟し、編集作業を進めている。

「み霊」使用の是非を議論
 昨年3月に発足した「賛美歌創作の集い(愛称・賛美歌工房)」(海老原直秀世話人代表)は、前大会に引き続き作品を発表。「日本人による作詩・作曲の賛美歌」を作ることを目的とした同会の10人の会員の中から、前田豊氏(日本キリスト改革派教会引退牧師)による詩3篇と、前田氏作詞・萩森英明氏(日本福音ルーテル教会武蔵野教会員)作曲の「慰め」、前田氏作詞・海老原氏作曲の「創造の力」の2曲が発表され、「み霊」という言葉を使用することの是非などが議論された。
 時代や現場のニーズに即した新しい賛美歌を創作し紹介し合う目的で2006年に発足した「これもさんびかネットワーク」(川上盾代表)からは、会員の善沢志麻氏(コウベレックス代表)が登壇した。同ネットワークでは、メーリングリストで歌詞や曲の紹介、意見交換などを行っており、現在の会員数はおよそ100人。日基教団東神戸教会が創作した「エマオのおまえ」が紹介され、会場からは、「このようなサブカルチャー的な挑戦もありだと思う」「賛美歌と福音聖歌は区別する必要があるのではないか。これは賛美歌と言えるのだろうか」といった賛否の声が上がった。徳善氏は、「歌っているわたしたちの信仰が、世々にわたって歴史の中で評価して、礼拝で歌う賛美歌が淘汰されて決まってくるのだろうと思う」「少年野球のレベルでたくさんの人たちが『賛美歌のようなもの』まで含めて歌っているということの底辺を形成しているものとして、大きな目で見ていてよいのではないか」と述べた。
 セッション㈽では、「『おお、なんという恵みよ!—パブロ・ソーサによる賛美歌集—』(日本賛美歌学会編、2009年)の訳詞作業から見えてきた刺激」と題して、アルゼンチンの賛美歌作家、パブロ・ソーサ氏による賛美歌集の訳詞担当者である松本敏之氏(日基教団経堂緑岡教会牧師)、吉岡光人氏(日基教団吉祥寺教会牧師)、荒瀬牧彦氏(カンバーランド長老キリスト教会めぐみ教会牧師)、宮崎光氏(日本聖公会東京教区司祭)、善沢氏の5人が、それぞれ担当した賛美歌について、日本語に翻訳するにあたって苦労した点などを紹介した。特に、原詩に込められた南米の社会状況や特殊性を表現することの難しさを指摘する声が目立った。
 同日、日本賛美歌学会の総会も行われ、新会長に高浪氏が選任された。

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