東京でネラン神父記念シンポ 「おバカさん」の孤独な戦い問う 2011年10月8日

 「おバカさん」が遺したもの——をテーマにジョルジュ・ネラン神父記念シンポジウムが9月24日、東京・信濃町の真生会館で開かれた。
 この3月に死去したフランス人のネラン神父=写真・山内継祐氏提供(2008年撮影)=は、遠藤周作著『おバカさん』のモデルとして知られる。自らバーテンダー修業をしてまで開店した新宿・歌舞伎町のスナック「エポペ」など、独自の活動を振り返り、彼が目指した日本の福音宣教の問題点や方向を探ろうという企画に、約120人が参加した。
 山根道公(ノートルダム清心女子大学キリスト教文化研究所准教授)、進藤重光(エポペ代表役員)、山内継祐(元ネラン塾塾頭)の各氏がパネラーとなり、オリビエ・シェガレ氏(真生会館館長)による司会のもと、遠藤氏らのフランス留学を陰で支えた秘話から、学生への宣教を目指し設立したネラン塾での指導、スナックを開くまでの決意とその反響などが語られた。
 「キリスト教を伝える気はなく、キリスト自身の魅力を伝えようとして、いつも相手に生きがいを問い掛けた」(山内氏)神父は、初め学生、次いでサラリーマン信者の育成を目指し、ついには自分でエポペを開いた。その孤独な戦いをめぐり、参加者と質疑を交わした。
 エポペは9月末、神父の死去に伴い、31年間の営業活動に幕を下ろす。

※ジョルジュ・ネラン=1920年フランス・リヨン生まれ。陸軍中尉を経て、1950年に司祭叙階。作家・遠藤周作らの留学を受け入れる。52年に宣教師として来日。63年からネラン塾を指導。渋沢・クロデール賞選考委員、真生会館理事長、東京大学、慶応大学、立教大学などの講師を歴任。80年7月に「エポペ」を設立。神学研究、翻訳、ネラン塾主宰など幅広く活動する。著書に『キリスト論』(創文社)、『アンチオケのイグナチオ書簡』(共訳、みすず書房)、『我ら人生を論ず』(春秋社)、『おバカさんの自叙伝半分』(講談社)など。

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