宗教者九条の和 土山秀夫氏が提言 2011年10月15日

 平和を希求する宗教者が宗派・教派を越えて集う「宗教者九条の和」(事務局・日本山妙法寺内)は10月1日、埼玉県熊谷市の文化会館で第7回平和巡礼を開催した。2001年の同時多発テロを受け、宗教者が相互理解を深め、さまざまな問題について意見交換する目的で発足した熊谷地区諸宗教者懇談会を中心に、約270人が参加した。

〝事実を積み上げてこそ〟
 被災者のために黙とうが捧げられた後、自身も被爆体験のある土山秀夫氏(長崎大学元学長)が「原発事故と平和憲法」と題して基調講演を行った。
 土山氏は、戦後間もなく「一億総懺悔」の名のもとに情報を隠蔽した政府の責任が曖昧にされたことと対比しながら、「今回の原発問題も、本質的には似たような傾向になりつつある」と警鐘を鳴らした。
 国のエネルギー対策費のうち97%が原発関連で占められ、代替エネルギーの研究と意図的な差別化が図られていることを指摘し、「災害リスクの高い原発を将来的にはゼロにすると明示した上で、国策として自然エネルギーの研究を推奨すべき」と主張した。
 また、放射性物質の危険性について多くの評論家が横行し、現地住民を不安に陥れている点を問題視。どれが正しいとは言えないが、まずは現地住民の心をくみとる必要があるとして、「被災者500万人とそれ以外の500万人を比較調査しなければ、本当のところは分からない」と述べた。
 さらに、かつて自民党、新党さきがけと連立した村山政権が反原発の旗を降ろした経緯にも触れ、「イデオロギー的な立場で反対しても、行政は頑なになるだけ。事実を積み上げ、それに代わる提言を示していくことでしか解決できない」と強調した。
 前回に引き続きピアノ演奏を披露した崔善愛氏は、震災後、しばらくは人前で発言できなかったと明かし、「遺族の気持ちを思えば、まだ喪に服さなければいけない時期なのではないか」と語った。
 続くパネルディスカッションでは、清水海隆氏(立正大学社会福祉学部教授)の司会のもと、土山氏に加え小久保彰田(天台宗常光院住職)、内藤新吾(日本福音ルーテル稔台教会牧師)、谷大二(カトリックさいたま教区司教)の各氏が登壇。内藤氏は、原発問題に関わるようになった契機として、大量の放射線被曝を強いられた労働者との出会いについて紹介。谷氏は、沖縄の基地問題との構造的な共通点を指摘した。

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