「首位権」問題めぐる討議 ヒラリオン府主教は慎重発言 2011年10月15日

 【CJC=東京】ロシア正教会モスクワ総主教座の対外担当ヒラリオン府主教が、教皇ベネディクト16世と9月29日会見した。その後、ヒラリオン府主教はバチカン放送に、「〝ローマ司教〟の首位権について論議するなら、ローマの首位権だけでなく、首位権自体について触れなければならない。正教会にはカトリック教会のような集中的な制度がないという異なった伝統があり、正教会内での〝第一の長〟の役割に関しては内部でも理解の差がある」と語った。同主教の発言が「カトリック教会と正教会の間の神学的対話に関する合同国際委員会」の今後についてのものであることは明らかだ。
 2007年にカトリック・正教会委員会が開催された時、ヒラリオン府主教も参加する予定だったが、エストニアの正教会を巡って、コンスタンチノープルのエキュメニカル総主教座とモスクワ主教座との間で対立があり、ロシア正教会が退席する事態となった経緯がある。両者はアメリカ正教会の地位についても対立している。
 府主教は、これらの対立に関して明確に「もしもある正教会が他の教会に対する首位権という考えを押し付けようとするなら、当然困難に直面することになる」と述べた。
 世界各地の自立正教会が「汎正教会協議会」開催の動きも出ているが、それもコンスタンチノープル総主教の権威の決定を意図したもの。「その役割は名誉的な首位であるべきだと信じており、調整役でもある。たとえば汎正教会公会議を運営するようなことだ。それより以前、公会議を運営したのはコンスタンチノープル総主教でもなければローマ教皇でもなく、ビザンチン皇帝だった」として、「統一した見解を持たない限り、普遍教会における『プリムス・インテル・パーレス』(同格の中の第一番)が教皇職の役割だとすることについて安易に協議することはできない」と府主教は認める。
 一方、2010年に発表した著書『世の光』の中で教皇ベネディクト16世は、教皇を同格の中の第一番とする見解は、その「特別な機能と働き」から見て、カトリック者として信じている形態とはまったく異なるもの、と指摘している。
 モスクワ総主教座が成立した1589年以来、教皇とモスクワ総主教との会談は未だ実現していないが、府主教は、それについても慎重な姿勢を見せた。

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