元「慰安婦」の〝痛み〟を ソウル日本人教会から吉田耕三氏招く 2011年11月19日

 日本キリスト教会日本軍「慰安婦」問題と取り組む会(小野寺ほさな代表)は11月3日、日本キリスト教会浦和教会(さいたま市)で「〝痛み〟を分かち合うということ」とのテーマで講演会を開催した。全国から約90人が参加。講師には、韓国で30年にわたり「謝罪と和解」のために仕えてきた吉田耕三氏(ソウル日本人教会牧師)が招かれた。

 副題に「加害者と被害者の狭間にて」と掲げて講演した吉田氏は、「痛みを分かち合うには、まず相手にどんな痛みを与えているかを知らなければならない」とし、韓国との関係において「隣人を自分のように愛しなさい」との戒めに従う歩みについて語った。
 神学生時代には、「靖国神社国営化」の反対闘争などに携わる学生たちを批判的に見ていたという吉田氏だが、次第にその働きの意味を理解する。元「慰安婦」のハルモニたちと出会う中で、日本軍の指示により東南アジア16カ国250カ所に「慰安所」が設けられ、虚偽の口実で集められた少女たちが性の奴隷とされた歴史を学んだ。
 現在、元「慰安婦」のハルモニたちは月に1人のペースで亡くなっており、生存者は66人までに減ったという。
 「まさに時間との戦い。ハルモニたちは、日本に対する激しい『恨』(ハン)を抱いたまま息を引き取っていく。表面的には韓流ブームで日韓の交流が盛んになった今日でも、心の中で日本に対する不信感は拭えない」
 礼拝の本質を問う重要なみ言葉として、「兄弟が自分に反感を持っているのをそこで思い出したなら、……まず行って兄弟と仲直りをし、それから帰って来て、供え物を献げなさい」(マタイ5・23~24)を引用し、日本が「さまざまな分野で足を踏み続けている」事例を挙げ、1965年の日韓基本条約の欠陥について、「一言半句の謝罪もない」こと、元「慰安婦」が補償対象から外れていることなどを指摘。「韓国が南北に分断され、一千万人の離散家族が生まれたのも、日本が侵略したから」と述べた。
 また、旧約聖書のエズラ記、ネヘミヤ記、ダニエル書から聖句を引用しながら、韓国の三・一独立運動を成功させた原動力は、わずか20万人のクリスチャンであったことを紹介。「わたしたちは腐敗したこの地に『地の塩』として派遣された宣教師。みなさんが小さな預言者となって、執り成しの祈りを始めていただきたい」と呼びかけた。

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