東洋文庫ミュージアム 学校との連携にも意欲 2011年12月3日

 東洋学の専門図書館、財団法人東洋文庫(東京都文京区、槇原稔理事長)が一般向けに「東洋文庫ミュージアム」をオープンした。国宝や重要文化財を含む約100万冊の蔵書から現在約90点を展示している=写真。
 来年2月26日までの企画展示「キリスト教と東アジア」では、『サクラメンタ提要』(ルイス・セルケイラ編、1605年)をはじめ、フランシスコ・ザビエルの伝記『ザヴィエルの生涯』(ホラティウス・トゥルセリヌス著、1600年)、マリー・アントワネットの愛蔵書であった『イエズス会士書簡集』(1780~83年)など11点を展示。サクラメンタの展示は12月18日まで、その後は重要文化財の『ドチリーナ・キリシタン』(キリシタン版天草本、1592年)を展示予定。
 「東洋学誕生のきっかけとなったのは、貿易と伝道」と主幹研究員の牧野元紀氏。キリスト教資料は歴史学のツールとしても重要だという。「たとえば、聖書は西アジアの古代史解明の根本資料です」。自身の専門がベトナムのキリスト教社会史であることから、キリスト教関連の企画には意欲的であるという。今後も東洋のキリスト教に関する特別展を検討中とのこと。
 また、同ミュージアムは「エデュテイメント」(教育と娯楽)の視点から新しい展示方法も導入。タッチパネルで書物の中身を閲覧できるシステムや、実際の書物を特殊映像との融合で楽しめる「エンカウンタービジョン」のような遊びの要素も取り入れ、「記憶に残る仕掛け」を工夫している。解説パネルも専門用語を極力排し、予備知識なく理解できるよう心掛けている。タイトルも、正確さより親しまれている名称を優先した。
 館内ではほとんどの展示物が撮影可能。開館も午後8時までと一般に広く公開され、来場しやすい。併設のカフェも好評で、その内装には『サクラメンタ提要』の一部があしらわれ、『イエズス会士書簡集』をモチーフにした重箱入りの文庫ランチ「マリー・アントワネット」が販売されている。10食限定でオープンと同時に売り切れる人気メニュー。
 宗教者の来場も少なくない。仏教、イスラム教と宗教関連資料は豊富だそう。学校と連携して、フリーパスで生徒と教職員が利用できる制度もあり、東洋文庫研究員による「出前授業」の構想もあるという。「教科書でおなじみの所蔵品も多数展示する。キリスト教系の学校とはとりわけ積極的に連携していきたい」とアピールした。
 開館は午前10時~午後8時(入館は7時半まで)。火曜休。一般880円、大学生680円、中高生580円、小学生280円。問合せは同館(℡03・3942・0280)まで。

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