救世軍が漁船を寄贈 〝出身者〟の声で実現 女川町 2011年12月10日

 救世軍(吉田眞司令官)は11月25日、宮城県牡鹿郡女川町塚浜で、同県漁業協同組合女川町支部に対して漁船の贈呈式を行った。贈呈されたのは、10人乗りの作業船で、1・7㌧、全長約8・5㍍。一隻380万円ほどの船。
 救世軍は、地震と津波で甚大な被害を受けた三陸沿岸部のために、国内外から寄せられた資金を用いて炊き出しや物資の配給などを行う支援活動に取り組んできた。漁船の贈呈はその一環で、来年3月までに計30隻を同組合に贈る。当日は、被災した各浜で働く漁師とその家族たちのために、2台のキャンティーンカー(炊き出し専用車)を用いて650食の給食支援を行った。
 女川町への支援は、東京にある救世軍の施設「男子社会奉仕センター」の向かいに住んでいる女川町出身者から「わたしの故郷にも救援に行ってほしい」という一言がきっかけだった、と震災支援事務局長の石川一由紀氏は言う。
 被災地での炊き出しを重ねているうちに、そこで出会った漁師の人に紹介してもらい、5月初旬に漁協を訪ねた。漁協は、救援団体の来訪は初めてだったという。
 その際、ライフジャケット、カッパ、長靴、手袋など浜や海での作業に必要な漁師の装備品を、同組合の会員数に相当する550セット贈った。続いて瓦礫の撤去、養殖場の再建、水揚げなどに不可欠な船の提供を決めた。国や県の補助が決定する以前に、同漁協にある15の浜に2隻ずつ送ることを決めた。現地に詳しい南三陸町の造船所(志津川造船鉄工所)に発注を依頼。造船所も壊滅的な被害を受けていたが、「復興支援のために現地の業者を利用したい」旨を理解してもらったという。
 贈呈式には、同漁協支部長の菊田正信氏、組合長の阿部昌喜氏のほか、救世軍から吉田司令官、石川事務局長が参加。さらに漁船のための資金提供を行った香港の救世軍代表であるサムエル・フォー氏、救援担当のサイモン・ウォン氏が参加した。
 香港の救世軍は、東日本大震災のために多額の資金を提供している。4月に俳優のジャッキー・チェン氏が開催したチャリティコンサート「愛国無国界311燭台光晩会」で集められた資金が香港・救世軍に提供され、宮城、岩手、福島での救援活動、復興支援活動に用いられている。このほか、米国、スイス、シンガポール、チェコなどの国々からも資金が寄せられている。
 女川町では、米国の資金を用いて、仮設店舗街の設置と給食関連施設の建設支援を行っている。南三陸町、大船渡市でも同様の支援を行っている。
 宮城県内では、同漁協に対する支援のほか、熱中症対策として避難所への扇風機、大型温室時計を提供。仙台市の応急仮設住宅や民間賃貸住宅入居者への布団セット、沿岸部の被災者への通勤通学用の自転車のほか、現在は11の市町に対して冬対策の暖房器具の提供も決定している。

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