悲惨・混迷・不安の中―― 世界はクリスマスをどう迎えた? 2012年1月21日

 地震・津波・洪水、独裁政権崩壊後の混乱と暴力支配、金権主義がもたらした企業文化の破壊と金融混乱、「想定外」の原発事故とその報道がもたらした政治不信、独裁者の急死の衝撃と予測不可能な今後――。悲惨、混迷、不安が覆う中、世界は12月24日から25日にかけて、イエス・キリストの誕生を記念するクリスマスを祝った。

 イエスの生誕地とされるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸のベツレヘムでは、聖カテリナ教会の深夜ミサに大勢のキリスト者が参加した。パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長やサラム・ファイヤド首相も出席した。

 フアド・トゥワル・エルサレム総大司教は「中東全体の平和と安寧を望む」と述べ、エジプト、シリアなどの指導者が良識を持って民衆のために尽くすよう求めた。

 大勢の巡礼や観光客が聖誕教会やその前にある飼い葉桶広場に押し掛けた。パレスチナ人の大部分はイスラム教徒だが、多くの市民が夜遅くまでキリスト者と共にクリスマスを祝った。パレスチナ当局によると、訪問者数は5万人を超えると予想していた。自治政府のフルード・デイベス観光相は、「ホテルはこの3年で室数は倍増したのに、1室も残っていない」と語った。

 教皇ベネディクト16世は24日夜、主の降誕を祝う深夜ミサをサンピエトロ大聖堂で行った。25日正午には、バチカンのサンピエトロ大聖堂のバルコニーから、集まった巡礼者数千人を前に恒例のクリスマスの祝福メッセージを読み上げ、飢餓や洪水、紛争などに苦しむ人々のために祈りをささげた。教皇は、「大地を血に染める多くの紛争に引き裂かれた世界に、神の恵みがあるように」と述べ、政府による市民弾圧が続くシリアで流血と暴力が終わるよう祈った。

 メッセージは、反戦と和解への支持を強調し、特にパレスチナとイスラエルの問題や、アフリカ大湖沼地域、南スーダンなどに言及した。またエジプトやリビアなど中東・北アフリカで進む民主化の動きについては、「社会のあらゆる層の人々が公共の利益を求める熱意が報われた」と述べた。さらに、日本語を含む世界の65の言語でクリスマスと新年のお祝いを述べ、恒例の祝福「ウルビ・エト・オルビ」を発表した。

 英国のエリザベス女王は恒例のクリスマス演説で、「災害や逆境の中でこそ家族や友情の強さを見出すことができた」と述べ、家族や社会の絆の大切さを訴えた。演説は25日放送された。女王は英連邦のオーストラリアとニュージーランドが今年、洪水や大地震に見舞われたことに触れ、「被災地で家族や地域社会が互いに支え合う姿に心を打たれた」と述べた。(CJC)

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