カナンの園IN東京 「共に生きる」決意あらたに 2012年2月4日

 今年40周年を迎える岩手県二戸郡の社会福祉法人「カナンの園」(及川忠人理事長)が1月21日、東京・銀座の教文館ウェンライトホールで「カナンの園IN東京2012」と題するイベントを開催した。参加した約70人の支援者らに、手作りのパンやケーキ、せんべいなどが振舞われた。

 活動報告を行った理事の藤村正治氏は、昨年岩手県で施行された「障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例」の奥中山版の実践モデルを作りたいとした上で、人材育成、地域生活の充実を今後の課題として掲げた。

 事務局長の佐藤真名氏は、被災地支援活動について報告。震災による直接の大きな被害はなかったという同法人では、普段からつながりのあった日基教団宮古教会と新生釜石教会を支援。地域の子どもたちが楽しめるようにと、5月には宮古でイベント型の炊き出しを行った。また、「ヒソプ工房」で製造販売しているバイオディーゼル燃料の提供や、8千人の子どもたちへのせんべい配布も行ってきた。

 佐藤氏は、「わたしの隣に悲しみや困難の中にいる人が日常的にいる暮らしが、わたしたちの今生きている社会だと気が付いた。福祉で生きているわたしたちには、『共に生きる』ということがキーワードのように語られるが、そのことの意味、決意があらためて求められている」と語った。

 イベントは、同法人が運営する生活介護事業所「小さき群の里」による「ひつじ工房アドナイ・エレ展」(1月22日~30日・教文館エインカレム)の開催に先立って行われた。

 「小さき群れの里」では現在、40人の利用者が七つの作業所に分かれて、精肉加工や無農薬野菜の生産などを行っている。縫工科として1980年に設立された「ひつじ工房アドナイ・エレ」では、敷地内に放牧されている羊の毛を利用した羊毛製品を製造。86年から東京と岩手を中心に作品展示会を開催し、タペストリーや聖書カバー、帽子などを販売している。

 今回は、2年ぶり23回目の開催となる。副施設長の戸田睦子氏は、「アドナイ・エレを世界のブランド品にしたい。製品を手に取った時に、その製品から『人と人とのつながり』が感じられる、そして温かみが感じられる。それがわたしたちにとってのブランド」と話している。

 1972年に設立認可された「カナンの園」は、知的障がいを持つ人たちの生活・労働の場として、生活介護事業、就労支援事業を行っている。「神に感謝しつつ歩む」「共に学び、共に育つ」「連帯の輪を拡げる」を3本の柱とし、児童入所施設「奥中山学園」、特別支援学校「三愛学舎」、生活介護事業所「シャローム」などを開設してきた。同所で製造している「奥中山高原のおせんべい」は第52回厚生労働大臣賞を授賞した。盛岡では92年に生活介護事業所「ヒソプ工房」を開所。昨年は奥中山にケアホーム4棟を設立した。

写真=「アドナイ・エレ展」で作品に見入る来場者

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