「君が代」訴訟で最高裁 戒告超える処分に「歯止め」 2012年2月4日

 卒業式などで「君が代」の起立斉唱・伴奏を命じる校長の職務命令に従わなかったとして、東京都教育委員会から停職、減給、戒告の懲戒処分を受けた都立学校の教職員ら171人が、処分の取り消し及び国家賠償を求めた3件の訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は1月16日、「学校の規律や秩序の保持等の見地から重きに失しない範囲で懲戒処分をすることは、基本的に懲戒権者の裁量権の範囲内に属する」とした一方、戒告を超える処分については「慎重な考慮が必要」との判断を示した。

 戒告処分を受けた168人については処分を取り消した二審判決を破棄し逆転敗訴としたが、減給処分を受けた1人と、停職処分を受けた2人のうち1人の処分を取り消した。もう1人については、過去の処分歴を踏まえ、「停職処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的な事情があったものと認められる」として、処分は「違法であるとはいえない」との判断を下した。

 原告団・弁護団は声明の中で、戒告が懲戒権の逸脱・濫用にならないことを遺憾としつつも、「懲戒処分を違法としたことは、きわめて重要な意義を有する」とし、「東京都が実施してきた『国旗・国歌強制システム』を断罪したもの」と、判決を評価。国旗掲揚・国歌起立斉唱を教職員に義務付ける「10・23通達」を都教委は撤回すべきだと主張した。

 また、日本弁護士連合会(日弁連)と東京弁護士会も声明を出し、判決が戒告処分を容認したことを批判する一方で、「君が代」の起立斉唱の強制と、処分の乱用に歯止めをかけるものとして評価。さらに「大阪維新の会」が府議会に提案している教育基本条例案についても警鐘を鳴らしている。

 昨年6月、大阪府議会では、「君が代」斉唱時の起立を義務付ける条例を「大阪維新の会」が提出し、可決。これを踏まえて府教育委員会は1月17日、起立斉唱を求める職務命令を府立学校の全教職員に出した。また、教育基本条例案に対しては、職務命令に対する処分規定を削除する対案を示している。

 判決を受け、都教委は24日、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」と題する文書を都立学校長と区市町村教育委員会教育長に宛てて通知し、あらためて国旗掲揚・国歌斉唱を指導・実施するよう求めた。

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