袴田事件で弁護士が解説 有罪は〝検察官の虚構〟 2012年2月11日

 無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会(門間正輝代表)が主催する公開学習会(共催・カトリック東京教区正義と平和委員会)が1月29日、カトリック清瀬教会(東京都清瀬市)で行われた。一昨年、『袴田巌は無実だ』(花伝社)=写真下=を出版した弁護士の矢澤曻治氏が「袴田事件の現在(いま)」と題して話し、鑑定書をめぐる検察側、弁護側の鑑定結果をそれぞれ詳細に解説した。

 静岡県清水市(現静岡市清水区)で1966年、一家4人を殺害したとされる死刑囚・袴田巌さんの第二次再審請求で昨年末、犯行着衣とされた衣類の血痕は被害者と一致しない、という弁護側推薦の鑑定人によるDNA鑑定結果が出た。

 矢澤氏は、犯行時に着たとされる「5点の衣類」には袴田さんの有罪と結び付けられるような立証はなされていないことを説明し、「犯行着衣を基に作られたシナリオがすべて崩れた。検察官の虚構であることが確認できた。検察官は存在しないことを存在しているかのように見せる」と厳しい口調で批判した。

 参加者からの質疑では、日本の司法制度に対して「冤罪が起きても誰も責任をとらない」と指摘する意見が出た。さらには裁判員制度が袴田事件にかかわっていた場合の結果を問う声もあった。矢澤弁護士は、「検察も巧妙に考える。『被告を有罪にするのだ』という強い考え方で動いているし、結果はそう変わるとは思わない」と話した。

 矢澤弁護士は、「検察官が有罪と言えば99.9%有罪になる。その典型例が袴田事件」とも付け加えた。

 この日の公開学習会には名古屋市や札幌市からも関係者らが駆け付けた。救う会では現在、再審実現のため、3月10日の袴田さんの誕生日にあわせて静岡地裁に提出する署名を集めている。これまで救う会が裁判所に提出した署名は累計8万1692筆(1993年から2011年10月提出分まで)。

 救う会副代表の門間幸枝氏は、「(昨年末のDNA鑑定で)弁護士側の結果はすべての人に希望を与えた。支援者は皆、あと一歩との思いを強くもっている」と心境を明かした。犯行時の着衣とされるシャツに付着した血痕が袴田さん本人のものかどうかを確認するDNA鑑定を実施する方針について、「科学的にもこれで決定打になると思う。さらに声をあげて世論の声を高めたい」と話す。

 45年に及ぶ獄中生活で、重度の拘禁症や糖尿病を患っている袴田さんを「一人のいのちが消えかかっている。いのちの問題であることに気が付いてほしい。宗派を問わず、無実の巌さんのために祈ってほしい」と思いやり、再審開始を訴えた。

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