〝終末期〟教会員の支えに 日基教団東京教区南支区 「成年後見制度」の可能性探る 2012年2月18日

 教会の高齢化が進む中、終末期を迎えた教会員の信仰生活を支えるために「成年後見制度」の理解と認識を高めようと、日基教団東京教区南支区社会部(澤田竹二郎委員長)が1月29日、同教団白金教会(東京都品川区)で、「安らかな信仰生活のために――成年後見制度とその可能性」と題する講演会を開催した。同教会会員で弁護士の中尾隆宏氏が制度の現状について講演し、高輪教会会員の高橋壽子氏が市民後見人の養成講座を受講した経緯を報告。同支区の教会員を中心に66人が出席した。

「人生の暗部を見る覚悟も必要」

 開会礼拝の説教で、白金教会牧師の黒米忠一氏は、教会の大切さは、信仰者以外にはなかなか理解してもらえないと述べ、「信仰が何よりも大切なものであり、教会に通い続けることが生きる力であり希望であり慰めである」という意思をあらかじめ家族や知人に伝えておく必要があると主張。「年を重ねた時に、自分の体の自由が制限され、意思表示が難しくなってくる状況が起こり得る。そのような中で、それでもこの地上の人生の最期まで教会での関わりを途絶えさせることなく、信仰生活を送ることができるための一つの可能性として『成年後見制度』についての理解を深めたい」と語った。

 中尾氏は「成年後見制度」について、「自らの意思で合理的な判断をなし得る能力を失った場合に、本人に代わって他人(後見人)が法律行為をするための制度」と解説。「自らの意思で合理的な判断をなし得る能力」とは、「事理弁識能力(契約等の法律行為を適切に行うための判断能力)」のことであり、「意思能力」と区別されることを説明した。

 成年後見人の職務内容は、大きく分けて財産管理と身上監護の二つ。後者は、医療に関する契約や施設への入所契約などの契約の締結を指す。中尾氏は、信徒である被後見人の代わりに成年後見人が礼拝に出席するなど、宗教行為の代理があり得るかを問題として取り上げ、「法律家の感覚としてはできない」と言明。ただし、教会の立場としては今後の検討課題であろうとも述べた。また、成年後見人を牧師や教会員、教会が務める場合、被後見人の財産から教会に献金することは、法的には教会への金銭贈与行為であり、利益相反行為になるため、「特別代理人の選任が必要になりかねない」と注意した。

 その上で、「教会や牧師が後見人になることには非常に危険がある。財産に近づくことは危険に近づくことを意味する。他人の財産には何が潜んでいるか分からない」と強調し、後見人を引き受ける場合には、被後見人の人生の暗部を見ることにもなるため、覚悟が必要だと訴えた。一方で、後見人を務めることは、「『罪の赦し』の実践現場という面もなくなはない」とも指摘した。

 「成年後見制度」には、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類がある。「法定後見制度」は、事理弁識能力を失った人に家庭裁判所が成年後見人を選任する制度で、本人の判断能力に応じて、「後見」「保佐」「補助」の三つに分かれている。「任意後見制度」は、事理弁識能力を失う前に、あらかじめ自分の後見人になってほしい人と任意後見契約を結び、事理弁識能力を失った後、家庭裁判所に成年後見人に選任してもらう制度で、「移行型」「即効型」「将来型」の3類型がある。

 法定後見、任意後見を通じ、現行の後見制度の特色には、「本人の意思の尊重と身上配慮監護義務」「自己決定権の尊重」「残存能力の活用」「ノーマライゼーション」などが挙げられる。法定後見制度の申立権者は、本人、配偶者、4親等内の親族等で、市町村長や検察官も含まれる。後見人には、親族、法律・福祉の専門家、法人、養成講座を修了した市民後見人などが選任される。手続きは必要書類を集めることから始まり、申立書類の作成、裁判所の書類審査と面接、審理が続き、審判まで通常2~3カ月かかる。

 「任意後見制度」の場合、任意後見人の資格はないが、未成年者や破産者、本人に対して訴訟をした人などを後見人に選任することはできない。

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