葬儀の多様性にどう対応? 日本キリスト教連合会が井上彰三氏招く 2012年3月10日

 カトリック中央協議会、日本聖公会、プロテスタント諸教会によって運営される日本キリスト教連合会(渡邉純幸委員長)は2月17日、元日本キリスト教協議会(NCC)宗教研究所員の井上彰三氏を講師に迎え、「現代葬儀の多様性にどう対応するか?」をテーマにルーテル市ヶ谷センター(東京都新宿区)で定例会を開催した。約20人が出席した。

 『心に残るキリスト教のお葬式とは――葬儀の神学序説』(新教出版社)の著者である井上氏は、「自分自身の死=一人称の死」と、「親しい人の死=二人称の死」を区別した上で、「死はプロセスである」と主張。葬送儀礼を積み重ねていくうちに、長い期間をかけて完成するものとして死を捉えた。

 その上で、「二人称の死」とイエスのいやしのわざの関連として聖書から、やもめの息子を生き返らせる話(ルカ7・11~17)を取り上げ、「新約聖書における葬儀を考える場合の原点の一つ」と位置づけた。中風の人のいやし(マルコ2・1~12)の記述については、教会が信徒でない人の葬儀を行う際の参考になると述べた。

 また、石井光太著『遺体――震災、津波の果てに』(新潮社)と、日本葬送文化学会の機関紙『葬送文化』から、被災地での仮土葬の状況について紹介。散骨、樹木葬、直葬など、葬儀の多様化についても言及した。

 「ペットの葬儀をどう捉えるか」との会場からの質問に対しては、「残された人のための儀礼。『二人称の死』という点から言えば、当然やるべきこと」と応答。

 通夜のあり方について問われると、「日本のキリスト教の葬式では、通夜がはっきりしていないことが大きな問題」「通夜の時点では人はまだ死んでいない。通夜を通して人は亡くなっていく」と述べ、「死を悼む、死を受け入れる、死をあきらめる時間」として通夜の必要性を強調。「プロテスタントの教会は、死んだ瞬間に人の魂は天国に行ってしまうと言うが、決してそうではないと思う」と語った。

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