キリスト教カウンセリングセンター 山中正雄氏講演会 〝側面援助が牧会の役割〟 2012年3月17日

 教派を超えた活動としてカウンセリング講座を実施し、カウンセラーによる電話相談を行っているキリスト教カウンセリングセンター(CCC・今橋朗理事長)は、精神科医の山中正雄氏(日本アライアンス教団千葉キリスト教会牧師)を講師に迎え、「挫折した人々の牧会と心のケア」と題する講演会を2月25日、幼きイエスの会修道院(東京都千代田区)で開催した。約100人の参加者が熱心に耳を傾けた。

「挫折と人生とは不可分の関係」

 「挫折と人生とは不可分の関係にある」と述べた山中氏は、「挫折感」をどう乗り越えるかをテーマに掲げ、人間の「挫折体験」の構図を、幼児期・小児期、思春期、成人期、老年期に分けて考察した。特に母子関係の大切さを強調し、「そこを外すと、人間の健全な成長が阻害される」と主張。母子関係の希薄化を問題視しながら、「しっかりとお母さんにホールディング(抱えること)されていると、挫折感が軽くなることがあるのではないか」と語った。

 深刻化する児童虐待については、「お母さんの中にもそれなりの訳がある」と述べて、良い親になろうと努力しているにもかかわらず、さまざまな理由により「挫折する」ことが虐待に結び付くと解説。子どもを守る児童相談所だけでなく、加害者である親をケアするためのシステム構築が必要だと訴えた。

 また、老年期を「挫折の仕上げの段階」と位置付け、「死という挫折」の準備として「礼拝」の重要性を指摘。「礼拝を重ね、聖書のみ言葉を聞いている人は、『死』というものを恐れながらもなお乗り越える」「挫折を越える知恵とスキルがそこで与えられる」と述べ、その理由を、「共同体を形成し、孤独感から解放されて、希望に生きる知恵をそこで見つけることができるから」と語った。

 聖書を「挫折した人たちの記録の書」と捉えた山中氏は、中でもヨブ記に着目。同書の中盤部分は人間の人生を表しているとし、結論が出ない中をなお生きることが人生の姿だと述べた。

 その上で、挫折感を克服するためには、「個人」と「環境」が対になることが必要だとし、挫折した後に現実とどう向き合うかが大切だと主張。「神」と「わたし」の関係の中で、「自分の人生は自分のものだ」という感覚を取り戻すことができるかどうかが問題だとした。

 さらに牧会の役割とは、挫折した人が自分を回復するための援助をすることだと述べ、「人が神さまからの賜物を得て、その人らしく生きる。その側面援助が教会の役割だと思う」と主張。「失敗から何を学ぶかが一番大切なこと」とし、「本人が気付くことと、周りが援助することが一体となった時に、挫折や喪失や失敗を乗り越えるスキルが生まれてくる」と述べた。

 会場からは、うつを経験した牧師に対する信徒の向き合い方が問われた。山中氏は、「牧師には真面目な人が多く、職業的にうつになりやすい。牧師に完全を求めない教会がよい」と述べ、配偶者だけでなく役員会・長老会の中でうつに対するケアを学ぶことが大切だと応答。牧会者同士のサポートの必要性についても言及した。

 同センターは、2012年度のカウンセリング講座受講生を募集している。日本聖書神学校(東京都新宿区)を会場とする午後クラス(午後2時~4時)は定員40人。日基教団東京池袋教会(東京都豊島区)を会場とする夜クラス(午後6時半~8時半)は定員25人。4月11日開講、毎週水曜日。1年3期(各期10回)で2年間の学び。受講料各期3万1500円、および資料代1500円(1年分)。他に参考書として、新装版『よい相談相手になるために』(キリスト新聞社、2520円)が必要。申込締切は3月25日。問合せは同センター事務局(℡03・3971・4865)まで。

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