「あの日」から1年 NCC×カトリック 合同祈祷集会 2012年3月24日

追悼と再生を願う 1千人が祈り一つに

 東日本大震災から1年を迎えた3月11日、日本キリスト教協議会(NCC)とカトリック中央協議会は「東日本大震災一周年にあたり追悼と再生を願う合同祈祷集会」をカトリック麹町聖イグナチオ教会(東京都千代田区)で開催した。地震が発生した2時46分には黙祷がささげられ、約1千人の参加者が祈りを一つにした。

 礼拝は、岡田武夫氏(カトリック東京大司教)の主司式、輿石勇氏(NCC議長)の共同司式で行われた。説教を担当した岡田氏は、昨年11月に日本カトリック司教団が発表したメッセージ「いますぐ原発の廃止を――福島第1原発事故という悲劇的な災害を前にして」に触れ、原発廃止を求める根拠には、信仰者としての反省が込められていると述べた。

 また、「東日本大震災は、わたしたちキリスト教信者にとっても信仰の試練ではなかったでしょうか」「神さまが存在するということと、この大災害がどうして両立できるのか、という疑問を新たにした人もいらっしゃると思う」と呼びかけ、現在進行中である神のはたらきを人間は知ることができないが、真実の奉仕と愛のみわざは、永遠の世界へ通じる価値を持っていると主張。「なぜこのような理不尽な出来事があるのか、という問いは大切であるが、この問いをわたしたち自身の信仰を深める契機にしたいと思う」と語った。

 生沼晴美(キリスト教保育連盟主事)、田所功(カリタスジャパン事務局長)、島田茂(日本YMCA同盟総主事)、坂川健(聖イグナチオ教会評議員)の各氏による共同祈願に続き、加藤誠氏(日基教団救援対策本部担当幹事)と、高木慶子氏(援助修道会修道女、上智大学グリーフケア研究所所長)が、1年を振り返る報告を行った。

 加藤氏は、震災で深刻な被害を受けた日基教団40教会の復興・再建のために15億円の募金が必要であることを試算。町や地域の復興計画ができていない中で、教会の再建はできないと述べ、岩手県釜石市の仮設住宅で傾聴に力を注いでいることや、福島の子どもたちのために東京YMCAと協力して「こひつじキャンプ」を開催していることなどを紹介。東北教区被災者支援センター(エマオ)の活動にも言及した。

 被災者遺族のグリーフケアに取り組んでいる高木氏は、天災による被災者と人災による被災者の悲嘆の違いを強調。「信仰を感謝し、現地で悲しみ苦しんでいる方々にも同じ恵みがありますようにと祈ることが、わたしたちにできること」と語った。そして被災地の人々に対して、その生き方が被災地外の人々にとって勇気になったことを感謝したいと述べ、「あなたがたの生き方が全世界の人々の力になるということを思って、これからもがんばってください」とのメッセージを伝えた。

 当日の献金58万4796円は主催2団体を通して、仙台キリスト教連合被災者ネットワーク(東北ヘルプ)とカリタスジャパンに送られ、被災地に届けられる。

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