コプト正教会の教皇シェヌーダ3世死去 他宗教と寛容に対話の姿勢 2012年4月7日

 エジプト・アレキサンドリアのキリスト教「コプト教会」の最高指導者、第117代教皇シェヌーダ3世が3月17日死去した。88歳。肺や肝臓の疾患で長く闘病生活をしていた。

 1971年11月着座以来、約40年にわたって教皇を務め、ホスニ・ムバラク政権が打倒された後は、激化するイスラム過激派による攻撃から信者を守ることに努めた。

 18日にはカイロのサンマルコ大聖堂で木製の玉座に据えられた遺体が公開され、教皇との最期の別れをするために大勢の信者が集まった。教会前にできた信者の列は1㌔に及び、軍が警備に当たったが、熱射病などで倒れる人も出ている。

 大聖堂内部では、遺体を一目見ようとする信者が押し合いになり、3人が圧死、50人が負傷した。国営テレビは信者に対し、遺体は葬儀が行われる20日まで公開されているので無理に押しかけないよう呼びかけている。

 遺体は遺言に基づきカイロ北西のナイル川デルタにあるワディ・ナトルーンの聖ビショイ修道院に埋葬される。AFP通信によると、遺体を運ぶ車列には教皇の死を悲しみ叫ぶおびただしい数の信者が殺到し、大きな混乱が見られた。

 シェヌーダ3世は1970年代、アンワル・サダト政権のイスラム教過激派対策を批判、79年にはイスラエルとの平和条約締結に反対したことから、サダト大統領は81年、教皇をこの修道院に一時幽閉した。

 シェヌーダ3世の死を悼み、教皇ベネディクト16世は追悼の祈りを捧げた。またバラク・オバマ米大統領は、シェヌーダ3世の寛容さと他宗教との対話姿勢をたたえるメッセージを発表した。

 コプト正教会は中東最大のキリスト教派で、信者はエジプトの人口の約9%にあたる700万人と推計されている。(CJC)

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