同志社講座in Tokyo 本井康博氏「新島襄と八重」語る 2012年5月5日

 同志社大は、首都圏の拠点である東京オフィス(東京都千代田区)で、「同志社講座inTokyo」を開講し、その一環として、同大神学部教授の本井康博氏が講師をつとめる「ハンサムカップル 新島襄と八重」を開催している。初回は「新島研究の最前線」と題し、4月20日に行われた。またこの日は、NHKディレクターの押尾由起子氏がゲストとして登壇。押尾氏は、09年に放送された、歴史秘話ヒストリア「明治 悪妻伝説 初代“ハンサムウーマン”新島八重の生涯」を担当した。

 来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」が、新島襄の妻であった八重の生涯を描くことから注目が集まり、同志社女子大では八重についての研究団体も発足した。

 新島襄研究の第一人者である本井氏は、八重の人物、その生涯について解説した後、兄・山本覚馬、前夫・川崎尚之助、後夫・新島襄ら八重をめぐる3人の男性についても触れた。

 人生50年といわれた時代、襄は32歳、八重は30歳で結婚した。八重は単なる一日本人男性と結婚したのではなく、「クリスチャンであり、牧師であり、宣教師であり、校長である人の妻になった」。その上で本井氏は、宗教的な問題をはらむので、ドラマでは校長夫人としての八重が前面に出ると思うと述べ、「新島の本職は牧師。八重の牧師夫人としての側面も出さないとトータルには捉えきれないと思う」と語った。

 ドラマが放映された後の再来年以降は、「新島襄よりも嫁さんのほうが有名になる。だからあの新島八重の旦那がつくった学校ですよ、と言ったほうが高校生にはヒットするんだろうと思う」と会場の笑いを誘った。

 押尾氏は、現在NHKの情報番組「あさイチ」を担当している。ヒストリアで八重を取り上げたことのいきさつや、その知られざるエピソードを語った。

 43分間の番組の中で、「八重さんの何が人の心をうつのだろう」と考えたという。八重の人生において境遇がころころ変わっていること、番組制作当時は「人生をリセットする」という言葉や風潮が流行ったことで、「この人は人生のリセットの達人という意味合いでいけるかな、と」。そして一方でささやかれる「悪妻」風評の2点にフォーカスし、紹介することに決定した。

 八重の人生を語る上で、彼女が選択した大きなキーワードに、会津時代の「銃」、京都に移ってから学び始めた「英語」、そして洋行帰りの「新島襄」。キリスト教が耶蘇といわれた時代に牧師であった襄を「当時は新興宗教の教祖さまのような存在。相当目立っていたに違いない」と押尾氏。容姿にあまり恵まれなかった八重について「人が手に取らないものを選んできたことで、人生を切り開いてきたのだと思う」と強調した。

 また演出上工夫した点なども明かした。二人の暮らした住宅が京都に残っている。八重は襄と結婚するまでは「和」の暮らししか知らなかった。番組つくりのため新島邸を訪れた押尾氏は、「夫・新島襄として妻の八重に対する思いやりが込められていた」と述べ、キッチンやトイレ、ベッドなど家の細部にわたって工夫がこなされていることをもユーモア交えて語った。ドキュメンタリー制作とは異なり、歴史を扱う番組で取り上げる人物は既に亡くなっているため、演出する上でも想像力をふくらませて表現していくのだという。

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