庭野平和賞 マヤ民族のカトリック人権活動家 ロサリーナ・ベラスケス氏 2012年5月26日

実践する精神性を強調

 公益財団法人の庭野平和財団(庭野日鑛名誉会長)は、今年で29回目となる庭野平和賞にマヤ民族の人権活動家であるロサリーナ・トゥユク・ベラスケス氏(グアテマラ共和国)を選んだ。5月10日、東京都港区の国際文化会館を会場に行われた贈呈式には関係者ら約150人が集い、ベラスケス氏には賞状と顕彰メダル、賞金2千万円が贈られた。

 カトリックのベラスケス氏は1960年に発生したグアテマラ内戦で父親と夫を失い、他の女性たちと民衆運動に加わるようになった。1988年、先住民団体のコナビグア(「連れあいを奪われた女性たちの会」)を共同設立した。

 1996年にグアテマラの和平合意が調印された後、内戦被害に対する補償の要求や女性の政治参加、先住民族の権利保護などに取り組んできたコナビグアは現在、グアテマラの主要人権団体とされている。

 マヤの教えに基づいて活動することで人種主義と差別の犠牲者が力を身につけて人権侵害を打破し、自分たちを深く傷つけてきた原因を変化させることが可能である、と実証してきたベラスケス氏。ある一地域の先住民に根付く精神性がグローバル社会でも重要性を持ち得るものであることを示し、他宗教の最も洗練された要素と共鳴する価値が存在することを実証したことが評価された。

 ベラスケス氏は受賞の報せを受けたとき、「これまでのいろいろな戦いや今の仕事のことを考えた。また仕事をもつグアテマラ女性の刺激になればいいと思った」と感想を述べた。マヤの教えとキリスト教信仰がどう共存するのか問われると、「(マヤの精神性は)他の宗教と喧嘩するものではない。これは代々受け継がれて恒常的に行う実践。それは森や川の岸、海や山などエネルギーのあるところではどこにでも精神性を開発することができる」と話した。

 さらにマヤの精神性は、「上を見るだけではなく地上で起きていることをも観察する。それはわたしたちが母なる大地の子どもたちであるから。上を見ると同時に下を見る」とし、地上にあるものと共存することが大切であると強調した。他の宗教については「どちらかというと、精神性のほうが強調されて、上を見ることのほうに目がいきがちだと思う」とも述べた。

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