無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会が公開学習会 〝国に人を殺す権利与えるな〟福島みずほ氏 2012年6月9日

 無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会(門間正輝代表)が主催する公開学習会(共催・カトリック東京教区正義と平和委員会)が5月23日、参議院議員会館(東京都千代田区)で行われた。この日の講師は社民党の福島みずほ党首。「国家と命」のタイトルで講演した。また袴田巌さんの実姉である、袴田秀子さんもゲストとして参加した。

 福島党首は超党派の国会議員でつくる死刑廃止議員連盟(亀井静香会長)にも属し、死刑制度に関する世論調査について法務省と交渉にあたっている。「いのちを根幹にすえて政治をやりたい」と訴え、死刑と冤罪、原発、そして戦争について話し、それらは根底ではつながっている、と論じた。

 福島党首は死刑制度の問題について司法修習生の頃から関心を持ちはじめ、勉強するようになった。日本の死刑の現状と問題点、そして死刑存置国として存在することを「何とか変えたい」「国に人々を殺す権利を与えてはならない」と強調した。

 袴田巌さんの支援者に対しては、「(再審開始のために)みなさんが死に物狂いで応援されていることに敬意を表したい。今度こそ再審開始、無罪を勝ち取って外に出てこられるようにと願っている」と労った。

 さらに袴田さんが拘禁症を患い「わたしは神だ」などと言っていることについて、「彼の気持ちを忖度すると、『自分はやっていないし、(娑婆に)戻る』。そして『神様がきっとそれを見てくれている』と思っているのになかなか実現できないから、自分が神だと思ったのではないか」と解釈している、と心境を明かした。精神的な辛さ、言葉そのものが「無罪の立証になるのではないかと思う」とも付け加えた。

 福島党首は自身が取りくんでいる問題として、昨年1月に処刑から100年目を迎えた「大逆事件」について話した。同事件の犠牲者を顕彰しようとする会もある。そして新宿区に建立されている「刑死者慰霊塔」を紹介した。幸徳秋水ら大逆事件で刑死した人もふくめ、死刑で処刑された人の霊を慰める形で建っていることは大事だと思う、と述べた。

 「大逆罪で処刑されるということがつい100年前にも日本で起きたことは覚えておく必要がある。まさに国家と命」

 一昨年の7月14日以来、巌さんに面会ができていない秀子さんは、公開学習会があった日の朝も東京拘置所を訪れたが、「お目にかかりたくない、と丁寧な言葉で断っている」という。DNA鑑定結果が出てからも何度も面会のために訪れているが、実現していない。「今は正念場。2、3年はかかると思うが、わたしも頑張る。再審開始が一日も早く来てほしい」。

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 死刑廃止議員連盟(亀井静香会長)で、死刑制度に関する世論調査についての勉強会が行われている。5月17日には参議院議員会館で、法務省刑事局の担当者を招いた意見交換会を行った。

 現行の設問内容については、各方面から死刑制度に賛成の割合が必然的に高くなり、世論をミスリーディングするのではないかという指摘もある。死刑廃止議連の議員からも指摘や批判が相次いだ。 

 亀井氏は「この世論調査は、本当に国民の深層心理、人間の良心に沿ってのものなのか」と疑問を呈し、「死刑は人生観や宗教観に関係する。質問の聞き方をもっと丁寧に、謙虚につくってもらいたい」と強調する。

 「あなたはどんな場合でも死刑に反対ですか? なんて質問は、誘導だ」と福島党首。また、「質問(の仕方)は、さじ加減だ。言い方によってかなり変わるもの」と述べた。

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