東京基督教大学セミナー 〝震災と教会のミニストリー〟 秋山善久氏 「空虚感埋めるのは福音」 2012年6月9日

 東京基督教大学(千葉県印西市)は、「東日本大震災と教会のミニストリー」のテーマで、一般公開の教会教職特別セミナーを4月から開催している。

 2回目となる5月21日のセミナーでは、秋山善久氏(日本同盟基督教団仙台のぞみ教会牧師)が、「被災支援と地域宣教」と題して講義した。今年度開設された同大学大学院神学研究科の学生など約40人が参加した。

 仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク(東北ヘルプ)で教会支援を担当する秋山氏は、この1年を4期に分けて振り返った。

 また民生支援として弔いプロジェクト、外国人被災支援プロジェクト、「心のケア」プロジェクト、食品放射能観測所などの活動を報告。「今回の震災で思わされたことは、地域の中に教会があるということの大きさ。今まで地域の中で埋もれていたような教会が拠点になって地域に仕えている」と、教会の役割の重要性を指摘した。

 岩手県大槌町で仮設住宅支援を行った際に、信徒ではない一般の被災者から「物資の支援ではなく、本物のクリスマスをやってほしい」と言われたエピソードを紹介し、「『心の空洞を埋めてほしい』という心の叫びのようなものが、各仮設住宅の中にはある」と被災者の実情を語った。

 また、被災者だけが「空虚感」を抱くのではなく、被災しなかった人の中にも漠然とした不安感を持つ人が増えてきているとし、「この『空虚感』を埋めていくのは福音しかないだろう。キリストにある自己が確立されていくことが大事。そこからでないと、今の現実を乗り越えていくことは難しいのではないか」と主張。

 一方で、ある団体が仮設住宅で住民の意に反して伝道集会を行ったことで、それまで築き上げてきた各キリスト教団体との関係が断絶されてしまった例を示し、「人が抱えている痛みや吐き出せない心の思いなど、苦しんでいる状況に立たないのが一番の問題。人間の痛みに主が立たれたというところに、わたしたちの福音はある。それを飛び越えて決心を迫るのは違う」と強調。

 徐々に震災が忘れられていく中で、被災地で今もなお深く傷ついている人たちに対し、どのように関わっていくのかが大きな課題だと述べ、相手が傷ついていることに気付かずに、自己満足と見られるような福音宣教を展開しないよう、注意を喚起した。

 震災を通して、教派教団を超えた被災者支援の取り組みが生まれ、教会が地域から信用を得たことでキリスト教に対する人々の感覚が変わったことを評価した秋山氏。被災地の現状については、「復興が見えているのはほんの一部分。実際には何も進んでいない」と述べ、「この1年の中でもう一度掘り下げて、体制を組んで、10年、15年先を見据えた考え方を持っていかなければいけない」と訴えた。

 同セミナーは年9回の予定。4月23日に開催された1回目の講師は、佐藤彰氏(保守バプテスト同盟福島第一バプテスト教会牧師)。次回は6月18日午後1時から、川上直哉氏(日基教団仙台市民教会牧師、東北ヘルプ事務局長)が「教会のミニストリーとしての葬りとスピリチュアルケア」と題して講師を務める。受講料2千円(支援会員千円)。申込は6月14日まで。問合せは同大国際宣教センター(℡0476・46・1131)まで。

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