聖学院大学総合研究所講演会 西平直氏講演 〝日本人の魂に触れるケア〟 2012年6月16日

 埼玉県上尾市にある聖学院大学総合研究所カウンセリング研究センターは5月18日、同大ヴェリタス館教授会室で、西平直氏(京都大学大学院教育学研究科教授)を招き、講演会を行った。タイトルは「無心とスピリチュアリティ 日本的なスピリチュアルケアのために」。

 欧米でスピリチュアルケアの必要性が議論され始めて半世紀。日本でもホスピスが始まって4半世紀。エリック・エリクソンの研究者でもある西平氏は、日本の「無」の思想をスピリチュアルな視点から読み直している。「日本人の魂に触れるケア」のあり方を考察する機会になった。

 「日本のスピリチュアルケアは無心を経由しているという期待がある」と西平氏は語る。ケアする側の心の置き所、身の置き所を話した。そのときに〈無心〉というゼロポイント、その都度立ち戻る原点をもって出発することの意義を語った。

 精神科医の女性は、「〈無心〉を何度も聞いているうちに、それが何なのかわからなかくなった」と意見し、再度質問を投げかけた。西平氏は「正しい無心があるとは思っていない。無心がある種の謎として心の中に根差してしまうほうがこの言葉は生きて働くと思う」と答えた。

 カウンセリングの状況下で、「自分が無心になれば、クライアントをも無心にならせるのか。スピリチュアルなものを願うが、わたしが無心になることを学べば、相手の心もそれを映し出すのか?」といった質問には、「ぼくはそうであってほしいと願う。しかし、こちらが無心になっていれば相手もそうなるという保証はどこにもない」と答えた。スピリチュアルケアは、「相手の我執性の思いを溶かすことを手伝う試みだと思う」と西平氏は言う。

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