原発は信仰と倫理の問題 日本福音ルーテル教会・日本聖公会が相次ぎ声明 2012年6月23日

 日本福音ルーテル教会(立山忠浩総会議長)と日本聖公会(植松誠首座主教)が相次いで原発をめぐる声明を発表した。これまでも、日基教団と在日大韓基督教会、日本バプテスト同盟、日本バプテスト連盟、日本カトリック司教団などが原発廃止を求める声明やメッセージを発表しており、それらに続く形で2教団も各総会で声明を採択し、「脱原発」を訴えている。

一刻も早い原発廃止を

 日本福音ルーテル教会は5月4日、原発をめぐる声明を発表し、いのちと環境をめぐっての基本的な理解とともに、原発の大事故と今後についての見解として、次のように挙げた。

 2011年3月11日に福島で起こった原発の大惨事をきっかけに、わたしたちは原発が人間のいのちへの途方もない脅威であり、いのちと両立しえない存在であることを深く認識しました。さらに社会的に弱い立場の人が犠牲になっていること、また後世の人々に大きな負担を負わせることは許されません。それらの人々と連帯し、神によって創造され、贖われ、生かされている現在と将来のいのちとそれが生きる場であるこの世界、地球環境とを守るために、たとえそれによって享受される快適で便利な生活と経済的繁栄を今のレベルでは維持できなくなるとしても、一刻も早く原発を廃止しなければならないと考えます。この認識に至るのが遅かったことを認めます。

 脱原発を主張する以上、一方ではエネルギーの消費を低くする質素で、環境に配慮し、自然と共生するライフスタイルを身につけ、他方では社会の英知と科学技術と資本とを結集して新エネルギー、代替エネルギー、再生可能なエネルギーの開発・導入・普及をさせなければなりません。それは経済や生活の快適さ・利便性の問題ではなく、神の前で隣人とともに生きる際に必要な、正義と公平を求める倫理の問題だと信仰によって認めるからです。

 日本福音ルーテル教会は神によって創造され、贖われ、生かされている現在と将来のいのちを次の世代につないでいくためにも、「一刻も早く日本にある原発が廃止されること」を第25期総会期の総会声明として社会と協会に呼びかけます。

 この呼びかけを手始めとして、日本福音ルーテル教会の各教会・教区・全体教会レベルで「原発の安全性に関わる問題性」、「放射能被曝に関わる問題性」、「核兵器廃絶との関係」、「世界のエネルギー政策とそれに関わる生活様式について」、「環境問題」等に関しての学びを含めての取り組みを開始していきます。

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神のもとに立ち返って

 日本聖公会は5月22日~24日、第59(定期)総会を牛込聖公会聖バルナバ教会(東京都新宿区)で行い、「原発のない世界を求めて――原子力発電に対する日本聖公会の立場」を採択した。

 これは、日本聖公会が教団として原子力発電と放射能についての態度を公にすることが必要であるとして提案されたもので、提案理由の一つには、「教会の中には、原発産業に関わる人々がいることも考慮しつつ、いのちを脅かすものに対しては、信仰に関わる問題としてこれを許さないという預言者的な役割を教会は果たさなければならない。原発の問題は政治問題ではなく、信仰と倫理の問題である」とある。

 声明は冒頭、福島原発事故について、「被爆体験を持ちながらも、これまで原子力発電と放射能の問題について十分な認識を持つことができなかった私たち一人ひとりにとって、それは神からの警告であるといっても過言ではありません」とし、原子力発電そのものが、弱者に犠牲を強いるものであり、「人々の犠牲の上に成り立っているという点で、イエス・キリストの教えに反するものだと言うことができます」と述べる。

 その上で原発の危険性を指摘し、「原子力発電は、神による委託の範囲を超えて自然を破壊する行為」と主張。また、原子力発電によって生み出された大量の廃棄物の処理に対する責任について言及し、「私たち一人ひとりが、つくられたすべてのものを見て『良しとされた』神のもとに立ち帰らなければなりません」と言う。

 そして、「今回の原子力発電所事故がもたらした破壊的結果を、日本という国が責任をもって収束させるように求めるとともに、私たち一人ひとりがその責任を分かち合います」と述べ、マタイによる福音書第7章12節を引用。「私たちが原子力発電所の危険性と被曝を人口過疎地に押しつけたり、原発を他国に輸出することによって、その地に新たな危険性を創出したりすることを許さないからです」と述べる。

 さらに、「私たちは教派・宗教を超えて連帯し、原子力発電所そのものを直ちに撤廃し、国のエネルギー政策を代替エネルギーの利用技術を開発する方向に転換するように求めます」とし、ライフスタイルの転換を決意。「苦しみや困難を抱える人々と痛みを分かち合い、学び合い、愛し合い、支え合って生きる世界を目指します」と結んでいる。

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