東京基督教大学が韓国・総神大学校と合同シンポ 「東日本大震災と日韓の教会」 2012年7月28日

 東京基督教大学は、7月4日、韓国の総神大学校平生教育院、在日韓国宣教師協力による合同シンポジウム「東日本大震災と日韓の教会 救援と復興のヴィジョン」を同大学国際宣教センター(千葉県印西市)で開催した。

 東京キリスト教学園東京基督神学校と同大学の教員は2006年以来、総神大学校を訪問し、3回の韓日宣教協力国際学術シンポジウムを行ってきた。今回は総神大学校平生教育院教授の宋浚仁氏の提案と、総神大学校卒業生を中心とした在日韓国人宣教師らの協力で、同大での合同シンポジウムを開催する運びとなった。

 はじめに同大学教授の山口陽一氏が「東日本大震災と日韓の教会」と題し、基調講演した。東日本大震災後、人との絆や救援活動に関心が高まっていたが、それと同時に「神学をすることもわたしたちの使命である」と述べた。また記憶すべきこととして、1923年の関東大震災では未曾有の天災に加え、パニック状況下で、6千人とも言われる韓国人虐殺があったことを記憶していなければならないと話した。

 総神大学校平生教育院教授であり、ソウル清凉(ちょんりゃん)教会の主任牧師でもある宋氏は、主題講演「福島原発事故を通して見た原子力に関するキリスト教倫理的省察」と題して発表した。宋氏は、組織神学、キリスト教倫理が専門。

 原子力開発の根本問題、原子力神話からの解放、原子力発電の倫理的問題、原子力発電の対案などについて細かく解説した。特にドイツでは、伝統的に原子力を支持する立場であったキリスト教民主同盟党に属するメルケル首相が、2022年までの原発の閉鎖を宣言したことに触れ、脱原発と関連して注目すべき内容は、ドイツのプロテスタントの立場であると語った。

 「ドイツプロテスタントは、ドイツ政府が脱原発政策を固守しその方向に向けて進めるように努力してきた。彼らはプロテスタント全体の意見をドイツプロテスタント教会協議会という名前でドイツ社会と政府に向けて宣布した。それは国家共同体の未来のために提起された、教会の社会的アピールであった。このような教会共同体の意見は、各連邦に属している教会監督の発表に支えられ持続的な運動になった」

           

 宋氏の発表に対し、同大学教授の稲垣久和氏が、「震災・原発事故後のキリスト教倫理と公共神学」と題して応答した。宋氏が語った「教会の責任と聖書的ビジョン」に限定してコメントした。宋氏の論じたキリスト教倫理が、教会員向けのものか、一般倫理学と対話可能な倫理学なのか、前置きした上で、「キリスト教倫理というジャンルは、原発問題などを扱う際にはキリスト者仲間への組織神学的アプローチから、非キリスト者と共有でき、かつ対話できる一般倫理の方向へと自らを脱皮させなければ意味がない」と話した。

 さらに、「原発が象徴するハードな産業からソフトな産業へ、日本の超高齢化社会の到来は持続可能なサービス産業、特に対人援助サービスすなわち福祉社会への転換が必要だ。これはモラルなくして不可能な分野である。日本のキリスト教は規模が小さいので他の宗教団体・ヒューマニズム・グループと協力してモラル市民社会の形成に努力すべきであり、そのための公共哲学(公共神学)の展開が望まれる」。

 ほかには、総神大学校平生教育院教授の徐要漢氏、日本同盟基督教団招待キリスト教会牧師の趙南洙氏が発表した。

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