荒井献・桃井和馬氏がトークセッション 「弱さを絆に 震災の闇路から紡ぎだす光」 2012年8月4日

 桜美林学園キリスト教センターは、7月6日、同大学刑冠堂チャペル(東京都町田市)で、「弱さを絆に 震災の闇路から紡ぎだす光」を開催した。聖書学者である荒井献、写真家の桃井和馬両氏による講演と、トークセッションがもたれた。

 荒井氏は、2010年にがんで亡くなった妻の英子さんの著書『弱さを絆に―ハンセン病に学び、がんを生きて』を紐解きながら、牧師であった英子さんがハンセン病患者と交流をもっていたことを紹介した。 

 「人は強さや大きさを絆にするときには排除が起こるが、弱さを絆にすると、不思議な力が沸いてくる」と述べ、震災以後は「絆」という言葉が飛び交っているが、「お互いの弱さを絆としてはじめて連帯が可能になるのではないか」と説いた。

 世界各国をめぐってきた桃井氏は、チェルノブイリにも2度取材しているが、それでも原子力については、昨年の震災が起きるまでは容認していたと話した。毎週永田町で行われている“原発反対”デモでは、実際の参加数よりも過少にその数を発表する当局の姿勢や、戦前の「八紘一宇」などを例に「国家が人をだます」ことに危惧している。

 ヒマラヤの3千、5千メートル級の高地に生きる人たちなどの写真を上映した。「ヒマラヤは皆が協力し合わないと生きていけない国。一人ひとりが社会から必要とされている」「朝から晩までお祈りし続けているのは、自分の力じゃ乗り越えられないものがあることをわかっているから」。

 対談では、ふたりとも妻を先に天に召されているため、その話題があがった。「死がいつも隣り合わせにある国」で長期滞在の経験もある桃井氏からは、戦後の日本社会は「死を遠ざけて生きている」との指摘もあった。

 参加者からの質疑で、荒井氏が講演で『新共同訳聖書』について触れ、「信頼できない」と言及したことについて、その理由を質問するキリスト者がいた。「イエスが言おうとしていることがきちんと伝えられていない。そこを苦労して出版した岩波版と比べて読んで欲しい。どちらが正しいとか、そういうことは言えない。参照して読まないと意図が伝わらないと思う」と応答した。

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