「ノアの箱舟プロジェクト」 被災幼稚園に壁画を制作 バイブル・アンド・アートミニストリーズが中心に 2012年8月18日

 被災地復興支援の一環として、福島県いわき市の日本聖公会小名浜聖テモテ教会付属聖テモテ幼稚園の外壁に「ノアの箱舟」の絵を描くプロジェクトが7月21日に終了し、8月3日に落成式が行われ、園児や保護者らに公開された。

 この「ノアの箱舟プロジェクト」は、美術を通して伝道活動を行っているバイブル・アンド・アートミニストリーズ(町田俊之代表)が、いわき市在住の阿部俊弥氏(日本オープン・バイブル教団シオンの山エルサレム集会牧師)と、小名浜聖テモテ教会牧師で同幼稚園園長の越山健蔵氏と協力して進めてきたもの。同団体の会員を中心とした17人のボランティアが幼稚園の外壁(高さ約7・5m×幅約5m)に「ノアの箱舟」の絵を完成させた。

 同団体では昨年、東日本大震災を受けて「バイブル&アート+チャリティー展」を開催。100万円を超える売り上げを寄付した。今年は被災地で実際に絵を描くことを通して支援をしたいと考え、3月に会員の紹介で復興ボランティアに従事する阿部氏のもとを訪問。同氏の子どもが聖テモテ幼稚園に通っていたことから、越山氏との相談で幼稚園の外壁に絵を描く提案を受けた。この外壁は震災の影響で塗装がはがれ、昨年ボランティアによって白く塗り直されたところだった。

 救いの物語である「ノアの箱舟」がテーマに決まり、4月にデザインのアイデアを募集。合わせて現地で制作にあたるボランティアと献金も募集した。5月末までに会員ら15人からデザインが集まり、その中からステンドグラス作家の山崎種之氏のデザインを採用。津波や洪水を連想させないように箱舟が地面に上陸したデザインに変更し、オリーブの枝をくわえた鳩と虹を強調した。

 幼稚園の園児たちにも参加を呼びかけ、画用紙に動物の絵を描いてもらい、それを17個のブロックに転写して外壁の前に配置することにした。

 壁画を長持ちさせるために上等の塗料を使いたいと、絵具メーカーのターナー色彩株式会社に画材を注文したところ、計画に賛同した同社がすべての画材を寄付。足組みの設置や壁の洗浄作業、ボランティアの交通費の援助などにかかった費用は、集められた献金の他、今年10月に開催するチャリティー展の売り上げで補てんされる。

 阿部氏が宿泊場所の手配と送迎を担当し、7月9日から17人のボランティアが入れ替わりで作業にあたった。原画を拡大コピーし、輪郭を切り取って壁にあてて下絵を作成。壁に凹凸があるため、その分表面積が広くなり、塗料の量が2倍必要になった。参加者のほとんどが壁画の経験がなく、描いた絵の上に塗料が垂れてしまうなど、技術的な難しさもあったという。

 小名浜聖テモテ教会は、震災直後からボランティアセンターとして支援物資の配布やボランティアの受け入れ、がれき撤去など、地域に根ざした復興支援活動を行ってきた。「『支援する人を支援する』という関係が築けた」と町田氏は言う。幼稚園の外には線量計が設置され、子どもたちは自由に外で遊ぶことができない。

 「最初はアートセラピーのような、子どもたちと一緒に絵を描くことで心が癒されるような活動を考えていた。壁画を描くことは、提案を受けるまでアイデアとしてなかった」と振り返る。「壁に描くのは初めて。皆で描くのも初めて。被災地で絵を描く機会はなかなかない。美術でも支援ができるという一つの例になった。教派を超えて被災地を応援することができて気持ちがよかった」。

越山氏の話=猛暑の中で2週間、バイブル・アンド・アートミニストリーズの皆さんによってノアの大作が見事に幼稚園の壁に描かれました。園児たちも思い思いの動物を描きました。すっかりお気に入りの自分が描いた動物の絵を保護者に自慢げに見て見てと言いながら、描かれたノアの家族に溶け込んでいます。

 すべて素敵な調和の中で、見る人に感動を与えています。園児たちはただすごい、すごいの連発でした。保護者の方々もテモテ幼稚園の新しいシンボルですねと、とてもうれしそうに見とれていました。キリスト教ミッションの幼稚園にとって願ってもないプレゼントとなりました。

 白い無機質の放射能線量計がノアの壁画と向かい合って立っています。線量は5日、0・09マイクロシーベルトを示しています。なんとも複雑な想いにかられます。ノアは人類の新しい歴史のスタートの象徴です。ノアの家族はこの現在の姿をどう見ているのでしょうか。聞いてみたくなりました。皆さまありがとうございました。

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