癒しの技としての性教育 医師、教師の立場から発題 キリスト教性教育研究会 2012年9月8日

 キリスト教性教育研究会(会長・富永國比古=ロマリンダクリニック院長)が主催する第5回公開研究大会が8月16日、国際基督教大学(東京都三鷹市)で行われた。

 遠藤徹氏(元聖心女子大学教授)が「『尊び』の愛としての『アガペー』」と題して基調講演をしたほか、田頭真一(オリブ山病院法人事業統括本部長)、水口洋(玉川聖学院中等部高等部部長)、芦田加奈(啓明学園中学校高等学校教諭)の各氏が、総テーマ「癒しの技としての性教育」に基づいて、医師、教師の立場から発題した。

 田頭氏が勤務するオリブ山病院は、キリスト教精神に基づき、「病める者の肉体的、精神的、社会的、霊的な癒しを含む全人医療」を実践している。「全人医療における性的癒しの問題」と題して発言した同氏は、聖書的世界観の確立とスピリチュアルケアの必要性を説き、精神疾患と性的問題との関わり、医療者としての課題について、具体的な症例を交えながら言及した。

 「キャリア教育としての性教育――私自身を大切にすること」と題して発言した水口氏は、「総合科・人間学」の授業を通して性教育に携わってきた。現代の中高生が抱える大きな問題として、「自尊感情の低さ」「コミュニケーション能力の低下」を挙げ、過度な競争主義にさらされる中で、「間違いや失敗をしてはいけないという強迫観念から解放させることが、キリスト教学校の役割」と述べ、挫折や行き詰まりを繰り返しながら「自分を愛するように人を愛する」ことを学ぶ必要があると訴えた。

 同じく女子校で教壇に立つ芦田氏は、司会を務めた町田健一氏(国際基督教大学)のゼミで性教育をテーマに論文を書いたという卒業生。「『癒し』と『幸福の実現』に繋がる性教育」と題し、自身がアメリカのチャータースクールで受けた性教育の授業や、友人から過去の「性的トラウマ」について打ち明けられた体験などを交えながら、執筆した卒業論文の概要を紹介した。

 同氏は、性を「個人的」「社会的」「生命倫理的」「性道徳的」「霊的」という五つの領域から考察し、性教育においてはその「全体性」を正しく捉えさせることが重要と指摘。まだ教師としての実践はできていないが、「生徒のために祈り続けたい」と締めくくった。

 後半のパネルディスカッションでは、発題した3氏へ会場からさまざまな質問が寄せられ、「男子校ではどう教えればいいか」など、教育現場からの悩みも聞かれた。

 この公開研究会は、牧師やキリスト教学校の教員、研究者、医師らが参加して毎年夏に行われている。

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