反プーチンバンド モスクワ裁判所が禁錮2年判決 2012年9月8日

 モスクワのハモヴニキ地区裁判所マリーナ・シロワ裁判長は8月17日、パンクグループ「プッシー・ライオット」のメンバー3人に、禁固2年の自由剥奪刑を言い渡した。

 これは正教会の総本山とも言える、モスクワの「ハリストス救世主教会」で3人が行ったパフォーマンスをフーリガン行為であり有罪と認めたもの。被告マリーナ・アリョーヒナ、ナジェージダ・トロコンニコワ、エカチェリーナ・サムツェヴィッチの3人は「一般コロニー」で服役することになる。ただ弁護側は控訴する方針。

 3人は2月末、大聖堂で「聖母様、プーチンを追い出して」などと歌い、当時、大統領への復帰を目指していたウラジミール・プーチン氏を批判した。覆面をした3人は祭壇近くで、来会者に対して、その場に似つかわしくない踊りを行い、反プーチン的スローガンを叫んだ。警察はフーリガン行為の刑事事件として立件、検察は「教会に対する冒涜」と主張し、フーリガン(乱暴)行為の罪で禁錮3年を求刑した。

 3人は、パフォーマンスを「プーチン大統領とロシア正教会の密接な関係を批判するため」と説明。正教会信者に謝罪したが、「刑事犯罪にはあたらない」と主張していた。

 判決は「宗教への敵意による乱暴な行為で、社会秩序を乱した」と有罪理由を明らかにしている。反政権パフォーマンスは罰金で済む場合が多いロシアでは異例の厳しさ。国内のリベラル派は「政治的な弾圧だ」と反発し、同日に裁判所付近で抗議集会を開催した。その際、野党指導者など約30人が拘束された。

 米国務省は同日、同バンドメンバーが有罪判決を受けたことに「懸念」を示す声明を発表した。声明は、罪に問われた行為に比べ裁判所が下した禁固2年の判決内容も「不均衡だ」と指摘している。国務省は、ロシアにおける「表現の自由」の権利を後退させる恐れがあるとの認識を示した上で、ロシア当局に対し事件の扱いを再検討するよう求めた。

 欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン外務・安全保障政策上級代表(外相)も「深く失望している」とのコメントを発表した。

 ロシア正教会の幹部2人は18日、同バンドのメンバーを許していると述べた。モスクワのスレテンスキー修道院のトップで、プーチン大統領の宗教上の相談相手とされているティホン・シュフクノフ司祭は国営テレビに出演し、ロシア正教会はバンドが演奏を行った直後にこのバンドのメンバーを許したと述べた。

 AP通信によると、シュフクノフ司祭は「教会は彼らを許していないと非難されることがあった。われわれは実際には当初から許していた。しかし、こうした行為は社会や権力者によって止められるべきものである」と述べた。

 マキシム・コズロフ主席司祭も国営テレビに登場、同意したが、教会はバンドのメンバーとその支持者が行動を改めることを望むとも述べている。(CJC)

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