オリジナル曲を日本語で ニュージーランドのコリン・ギブソン氏迎え 日本賛美歌学会 2012年9月22日

〝キリストにより一つになれるよう〟

 日本賛美歌学会(高浪晋一会長)は9月8日、ニュージーランドの賛美歌作家コリン・アレグザンダー・ギブソン氏(オタゴ大学名誉教授)を講師に迎え、「新しい賛美の息吹――ニュージーランドの創作賛美歌」と題して第12回大会を立教学院諸聖徒礼拝堂(東京都豊島区)で開催した。

 同氏選出の賛美歌をまとめた学会オリジナル歌集『Jumping Jesus(ジャンピング・ジーザス)~コリン・ギブソン編 ニュージーランドの創作賛美歌集』(全22曲、日本賛美歌学会C・ギブソン賛美歌集編集委員会訳)を用いて、約100人の参加者がともに賛美を行った。

 ギブソン氏は20世紀半ばから40年以上にわたり、生まれ故郷ダニーディンのモーニングトン・メソジスト教会のオルガニスト兼聖歌隊指揮者を務め、1958年以降は賛美歌学の研究者としても活躍している。400編に及ぶ自作賛美歌は、母国を始め、イギリス、スコットランド、米国、カナダ、中国、フィリピンなどの賛美歌集に収録されている。日本では、『讃美歌21』の「女と男と知性と愛と」、『こどもさんびか改定版』の「こえのかぎり かみをたたえよ!」が同氏の作品。

 講演1「信仰を歌う賛美歌」(通訳=横坂康彦氏)では、ニュージーランドの賛美歌の歴史的背景をたどり、創作賛美歌の現状を紹介。同氏によると、同国で賛美歌が歌われるようになったのは、1814年のクリスマスに、英国国教会の宣教師サミュエル・マースデンが先住民マオリ族と詩編100編を歌おうとしたことが始まり。その後100年以上にわたり、開拓者によってもたらされた伝統的な賛美歌が歌われてきたが、イギリスで起こった賛美歌創作運動による詩や曲が1960年代から各教派の賛美歌集に収録され始めた。

 その後、アジアやアフリカの賛美歌、社会的視点を重視するスコットランドのアイオナ共同体の歌集、米国の黒人霊歌や福音唱歌などが伝えられたが、自分たち固有の賛美歌を作ろうとする動きも始まる。1965年にはメソジストの執事により「ニュージーランド現代賛美歌」という組織が設立。68年には福音派の賛美委員会により「歌による聖書」という名の出版社が作られ、独自の歌が世に送り出された。

            

 今回のオリジナル歌集に収録された賛美歌のほとんどは、78年に設立された「ニュージーランド賛美歌財団」が出版した6種類の歌集に収録されているもの。その独自性を表したものとして、講演1では11曲が紹介された。

 中でもギブソン氏作詩・作曲の子ども向け賛美歌「とびだすイェスさま」では、多くの賛美歌が静かなイエスを歌うのに対し、「さかだちくるっとまわって 笑顔のイェスさま」という歌詞に表されるように、イエスの持つ霊的な活力を表現。「飛び跳ねたり、砂浜で側転をしたり、ベッドで跳ね上がるイエス様」をイメージしたという。

 講演2「社会正義、自然、平和、平等、包括性を歌う賛美歌」(通訳=荒瀬牧彦氏)では、ニュージーランドの賛美歌に見られる独自の問題意識をテーマに、残りの11曲を紹介。ギブソン氏は、同国の賛美歌作家の作品に社会正義をテーマとする賛美歌が多い理由として、若者の自殺率の高さ、ドメスティック・バイオレンスや貧富の差の拡大、人種・宗教間の対立、自然環境の保護を訴える人たちと開発を進めようとする人たちの衝突などを挙げた。

 例えば、「流れさせよ 正義を」(ギブソン氏作詩・作曲)は、アモス書5章21~24節を土台としてホームレスの人々の状況を描いたもので、歌う人に行動するように呼びかける。「やわらかく 大切に」(シャーリー・マレー氏作詩、ギブソン氏作曲)は、自然への畏敬の念を歌ったもの。

 他にも、オーストラリア・ニュージーランド軍兵士慰霊の日(アンザック・デー)にちなんで創作された「たたえよ 勇者の死を」(同)、伝統的な神のイメージを一新し、女性の視点から神の母親の側面に注目し、人間が神の子宮の中におり、神の母性によって養われているようすを想像した「わたしを愛する生ける聖霊」(同)などを解説した。

 最後に自身が作詩・作曲した「キリストの愛で」を紹介し、「言葉や文化は違っても、キリストにあってそれらをハーモニーに変えることができるようになる。わたしたちは異なった神学的考えを持っており、違う教派に属していても、まことのぶどうの木であるキリストによって一つになれると肯定するような曲」と述べた。

 日本賛美歌学会は、「賛美歌についての研究・普及活動を行い、日本における賛美歌の創作を促すこと」を目的として2001年に設立。エキュメニカルな交流の中で、現在八つの支部(北海道、東北、北信越、関東、中部、関西、中国・四国、九州・沖縄)を通して活動を行っている。関西支部でもギブソン氏を講師に迎え、9月14日に日基教団神戸聖愛教会(神戸市中央区)で講演会を開催した。

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