〝初めて聖書読んだ〟 舞台『コーパス・クリスティ 聖骸』主演・渡部豪太さん 2012年9月22日

 9月6~17日、東京・渋谷区の青山円形劇場で舞台『コーパス・クリスティ 聖骸』(原作=テレンス・マクナリー、訳・演出=青井陽治)が上演された。初日には公開ゲネプロが行われた。

 開場中から役者が舞台に客席に登場し、他愛もないおしゃべりや歌を歌ったり、トレーニングをしたり、果てはひげも剃りはじめ、思い思いにリラックスしたような時間を過ごす。そしてエルビス・プレスリーの曲が鳴り響く中、場面はアメリカ・テキサス州のコーパスクリスティへと移っていく。

 教界ではよく知られたキリストの誕生から十字架の死までの物語が、アメリカの若者社会、とりわけ同性愛者たちの中に描かれる。それは目の前で躍動的に演技する若い俳優たちと重なって立体的になり、シンプルな衣装、装置、ストーリーが作品の本質をより一層際立たせた。2時間の上演時間を感じさせない吸引力。

 主演の渡部豪太さん=写真=は、「(作品に出演するにあたって)聖書を初めて読みました。読みづらい部分も面白い部分もあったけど、思うことは四つの福音書の矛盾点。何が真実でそうでないのか。意味がわからなくなる時もありましたが、僕たちが今こうして芝居ができていることが真実なのかな」と取材陣に語り、窪塚俊介さんは「稽古に入る前から聖書に触れて、クリスチャンの方でも一生かかってもわからないという重さを感じながら、信仰の問題が1番大切だと思った。(本番にあたって)最後は聖書を捨てることが求められ、作品として単独に存在できるものとして仕上がった」と稽古中は参考書として聖書を持ち歩くこともあったことを明かした。

 出演者最年長の松田洋冶さんは、小学校から大学までの学生時代を青山学院で過ごした。「毎日の礼拝、週1回の聖書の授業を思い出しつつ、その芝居を校舎の真向かいの劇場でやるということに縁を感じています。学生時代を思い出して、精神年齢だけでも彼らの年齢に戻れるようにと聖書を読み返しました!」とおどけた。

メモ
 『コーパス・クリスティ 聖骸』(ネルケプランニング)=アメリカを代表するトニー賞作家テレンス・マクナリーが、1998年ニューヨーク演劇界に大論争を巻き起こした〝幻の問題作〟。もともとマンハッタン・シアター・クラブとの共同で製作されたその劇は、新約聖書に伝えられる「受難の日」を迎えるまでの説話を、13人の裸足の俳優らが劇中劇として演じてゆくという作品。現代のテキサスに住むゲイの男性であるイエスと12人の使徒らを取り巻くホモフォビックな社会が、キリストの受難とパラレルに描かれ、また悪魔を映画俳優ジェイムス・ディーンとして現すなど、非常にユニークでセンセーショナルな作風。

《物語》13人の男性らが舞台に集まってくる。1人はジョシュア役、1人はジュダス役。他の11人の俳優たちは、いくつもの役を演じる。そして、ひとつの劇が開幕する。
 テキサス州のモーテルで、メアリー(マリア)はひとりの男子を産み落とす。その人こそ、世界が待ち望んだ子供であるとルーム・サーヴィスら(三賢者)に告げられ、男子はジョシュア(イエス)と名付けられる。するとジョシュアの前に「主なる神」が現れ、ジョシュアに「神の子」としての使命があることを告げる。ジョシュアは「神の子」として迷いを持ちながら、すくすくと成長していく。「自分の運命は?」「人を愛するとは?」そして、彼は恋を経験していく。いよいよ高校最後のシニア・プロムの日。ジョシュアはある少女にパートナーを申し込む一方で、ひとりの少年・ジュダス(ユダ)と、運命的な出会いをする。

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