ラテンアメリカ・キリスト教ネット聖書研修会 大嶋果織氏 ヨセフの役割に注目 2012年10月6日

 ラテンアメリカ・キリスト教ネット(大倉一郎代表)は、9月17日から2泊3日で聖書研修会を横浜市中区寿町の日基教団なか伝道所で行った。研修会は今回で6回目。参加者は、寿地区の簡易宿泊所に泊まる形で、20人以上が集った。

 講師は、大嶋果織氏(日本キリスト教協議会教育部総主事)。「『ヨセフ』とは誰か? 『女・子ども』の視点から、マタイ1章~2章を読む」を主題に行われた。

 大嶋氏は、ヨセフを取り上げたことについてキリスト教界で「男性性」をめぐる神学的吟味・省察が少ないことや、人口妊娠中絶問題に取り組む中で、ヨセフという人物が果たした役割の大きさに気づいたことなどを挙げた。

 家父長制や男の序列、「男らしさ」などについて事例を挙げて説明し、また、聖書や歴史ではヨセフがどのような描かれ方をしてきたのかを解説。そうした講義の上で、マタイ1~2章を読み直し、批判的聖書学では何と言っているのか、そしてどのように読んでいくのかを参加者一同で試みた。

 キリスト教界では語られることの少ない男女の問題、またタブー視されがちな性について向き合う時間となった。参加者は、「自分の教会へ帰って、ラキネットで学んだことを話せるかどうかはわからない」「テキストに書かれていることは、マタイならマタイで、そのイメージが染み付いている。そこを切り裂いて、出来事としてその向こうに何が見えるのか。エックス線をあてるような聖書の読み方をしていきたい」とする感想や、「イエスは『キリスト教』と声高に叫んで活動し始めたのではない。貧しい人を解放するためにやった。運動する教会にできないか」という意見も。

大倉代表の談話
 「毎年9月に開かれるラキネット聖書研修会は今回第6回目を迎えた。第1回から三つの視座を大切にしてきた。第一に批判的聖書学を受けとめた聖書の読み方、第二に人間の解放と人間化を見失わない聖書の読み方、第三に聖書の学びに参加する誰もが対話の主体となる開かれた学びの場である。それらの実現をめざしてきたが、今回はこれまでの努力の蓄積が新しいステップに進んだという手ごたえを感じている。大嶋氏による『ヨセフとは誰か?』というテーマでのマタイ福音書1章~2章の学びは、ユニークでぐいぐい引き付けられた。

 とりわけ、マタイのテキストに深く切り込んだ学びを踏まえて、グループ毎にテーマに答えを試みるドラマを作ったが、期せずして歴史のヨセフは、軍事基地の沖縄に生きる青年として、和人の侵攻に抗してアイヌ民族の一人の父親として、孤立に晒されて必死に生きようとする現代の若者として、時の隔たりを越えて、現代のわたしたちの心に迫ってきた。

 批判的聖書の読み方を通じて、聖書の言葉はわたしたちを民衆の現実に出会わせ、イエスに倣って他者と共に生きるための信仰の知と霊性を示してくれるのだと思う。でもラキネットの試みはまだまだ途上だ。生存そのものが脅かされる困難な時代で、わたしたちは勇気を必要としていますから。このような飾らない本音で語り合える聖書学習の場が、広がっていって欲しいと思う。そして若い人々にわたしたちの聖書学習運動を分かち合って欲しいと願う」。

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