「障がいのある人と向き合う」 赤崎正和監督『ちづる』上映 日基教団埼玉地区アーモンドの会 2012年10月13日

 自閉症と知的障がいをもつ妹を撮ったドキュメンタリー映画『ちづる』の上映と、同作品の監督である赤崎正和さん(=写真)の講演会が9月22日、日本基督教団埼玉和光教会(埼玉県和光市)で開催された。

 同教団関東教区埼玉地区による「障がいを負う人々と共に生きる教会を目指す懇談会(通称 アーモンドの会)」が主催し、「障がいのある人と向き合う―親子・きょうだい・そして教会―」という主題で、教会・幼稚園・関係団体などから160人以上が集まった。

 現在都内の知的障がい者の福祉施設で働く赤崎さんは、立教大学現代心理学部映像身体学科で映画制作を学び、2011年に卒業した。卒業制作として作った『ちづる』をきっかけに映像から福祉の道に進むことを決意した。

 講演で赤崎さんは、小学校から高校までの間、学校の友だちらに妹のことをなかなか言えなかったことや、思い切って友人に打ち明けて気まずい雰囲気になったことがあった、と振り返った。千鶴さんは、突然無銭飲食をしそうになったり、テレビをベランダから放り投げて壊したことも過去にはあったそうだ。赤崎さんは「自分に正直にロックな生き方をしている妹をうらやましく感じていた」とする一方、自身は、「友人から家族の話題に触れられないように、ひやひや怯えながら生きてきた。人と自分の間に壁をつくって生きてきた」。

 大学3年の冬から制作に入り、撮っているうちに内面的な変化もあった、と語る。それは自身の進路と同時に、千鶴さんの将来について考えるようになったことだ。

 「妹はどんなオバサンになるのか。意識していくと、障がい者に関わる仕事を考えるようになった。『障がい』って何なのか。妹と向き合いつつ、その存在を考えるようになり、そこから自分の仕事を考えるようにもなった」。

 全体で30時間以上の映像を75分に編集する制作過程で、指導教授である池谷薫氏との方向性の違いで気付かされたこともあったと打ち明ける。

 「『これはふつうの3人家族の映画だ』という先生に、自分は『大変な障がいをもつ人を抱えた家族の映画なのだ』と逆に思っていた。先生に差別しているのはお前自身だといわれ、衝撃的だったし、自分に対して恥ずかしいと思った」。

 完成後、学内で上映会をし、同級生らにちづるさんのことを知ってもらってから、「心がラクになった」と言う。見てくれた友人の一人が、「わたしの兄も自閉症なんだ」と言ってくれたこともあった。

 「障がいをもつ人は世界中にいる。しかしかつての僕のように、周りに言えなくて悩んでいる人もいると思う。(映画に対して)友人たちの反応は心配だったが、気まずくなることもなく、自分の人生が変わったと感じた。もう隠すことはなにもないのだ、と」。

 講演後には、参加者が5、6人でグループをつくって分かち合う「バズ・セッション」がもたれた。
 また質疑では、来月で2歳になるダウン症の子をもつ母親から、「上の子に下の子の障がいの説明をし始めているが、監督はどうだったか。何かアドバイスはないか?」とする個人的な質問や、さらには続編として『ちづる2』を制作してほしいとする要望もあがっていた。

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