三浦綾子80作品を電子書籍化 生誕90周年で三浦記念館と小学館共同企画 2012年10月13日

 キリスト教の視点で『氷点』『塩狩峠』『銃口』など数多くの小説、エッセイを発表した三浦綾子さん(1922~1999)の生誕90周年にあたる今年、三浦さんの作品に一貫しているテーマ「愛とは何か」に沿うような読書会や関連活動が活発になり、三浦さんの既刊書籍の重版、関連書籍などの出版も相次ぐ中、三浦綾子記念文学館(北海道旭川市、三浦光世館長)と小学館(東京都、相賀昌宏代表取締役社長)は『三浦綾子電子全集』を共同企画、小学館が発売する。

 作品を発表する際のパートナーの出版社、小学館は今年創業90周年を記念して、三浦綾子記念文学館との協同企画で、電子書籍版の文学全集『三浦綾子電子全集』を制作、配信を10月12日から順次始める。

 『氷点』(上)(下)『銃口』(上)(下)から始まり、以降は毎月5タイトルずつ発売予定で、全80作品を配信。価格はすべて500円(税別)。対象端末は電子書籍専用端末、スマートフォン、タブレット端末、PC、携帯電話など。三浦光世氏の、夫が見た綾子さんの創作秘話、同記念文学館所有の秘蔵写真など追加編集も入る。光世氏は電子全集の発表会(9月11日)で、「電子書籍で再び作品が読まれる」とその喜びを語った。

 小学館デジタル事業局デジタル出版推進室課長の中山博邦氏は「三浦作品は数も多く、絶版もかなりあり、文学館にも問い合わせがあった。電子書籍になることで読めなかったが読める。3・11以降、作品テーマの犠牲、救済に心が動き、著作に流れている、生きる、愛、赦しの三浦作品が時代に大きな役割を果たせるのではないか」と語る。

電子書籍を手にする三浦光世氏

 

 三浦綾子記念文化財団専務理事(同文学館事務局長兼任)の松本道男氏は、企画の経緯などについて「2万5千点の資料をデータベースにする作業が、20人のボランティアも手伝ってくれ順調で今年おわる見込み。その中に地元の書誌などに掲載された著作が約700点あり、その中から纏めて出版『丘の上の邂逅』(小学館)となった。その際、出版の担当者に、絶版作品の問い合わせが多いと話すと役員会に諮ると。それからとんとん拍子に進んだ」さらに「三浦作品の増刷は今年、昨年の約3倍です。生誕90年もあるでしょうが、自死、虐待、虐めなど心に闇を持つ人たちには生きづらい社会。どう生きたらよいのか苦難があります。作品テーマ、人は如何に生きるか、が時代に沿っているからではないか」と話す。

 三浦綾子読書会顧問(東京JCF牧師)の長谷川与志充氏は「読書会をしていて、絶版本が増え、これが絶版になってはとの思いで、古本を集めたりもしていました。電子書籍で活動も支障なくできます。これを機会に多くの人が作品を読んでいただけたら嬉しい」と期待する。

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