キリスト教本屋大賞に『ガリラヤのイェシュー』 山浦玄嗣氏「世間に通じる聖書を」 2012年10月27日

 キリスト教出版販売協会の販売部会と書店部会が共催する「第2回キリスト教本屋大賞」の授賞式が10月2日、東京都大田区にある「大田区産業プラザ」で、クリスマス見本市の開催時に行われた。大賞に輝いたのは、ケセン語研究の第一人者である山浦玄嗣氏(=写真)の『ガリラヤのイェシュー 日本語訳新約聖書四福音書』(イー・ピックス)。

 同賞は、キリスト教出版販売協会に加盟する全国のキリスト教専門書店が2011年に刊行された書籍から〈売りたい・お薦めの本〉を投票形式で選んだもの。

 山浦氏は、岩手県大船渡市で開業医をしながら独学で聖書のケセン語訳に取り組んできた。『ガリラヤのイェシュー』は、「ケセン語を改めて“世間語”にし、5年費やした」と紹介。しかし本がほとんど完成した時に、3・11の震災で、出版社ごと津波に流されてしまった。山浦氏は、「津波の中から不死鳥のように6カ月で作った」と当時の状況を語った。

 山浦氏は、日本におけるキリスト教布教は、過去50年を振り返ると失敗だ、と指摘した。若い世代に引き継がれていないことを挙げ、その原因は聖書にあると分析。「皆がストンと腑に落ち、世間に通じるような聖書をつくらないと。大工さんやお百姓も『俺も耶蘇になるぞ』と思えるような聖書でなくてはだめ。それは日本人の魂で語る信仰のあり方だ」。

 また版元や書店員らに向けて、「今の日本のキリスト教、その担い手は皆さんだ。皆さんは鉄砲。わたしは(その鉄砲に入れる)弾を作った。弾と鉄砲がぴたっと合った時にそれは人の心に響くものになる」と激励した。

 書店員が『ガリラヤのイェシュー』を薦める理由として、〈久々に読んでいて心がわくわくする、読んでいて“楽しい”という気持ちにさせられる、日本語が本来もっている力を十分に引き出されている、そんな書物でした。信仰に瑞々しい力を注いで頂ける1冊です〉〈福音書を単に訳しているだけでなくその解説、説明が加えられていて、より解りやすい上、登場人物が方言で話すことにより、より身近に感じられる。また東日本大震災による出版に至る経緯等、奨める話題を欠かない〉といった声が上がっている。

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