〝いのちなきところ正義なし〟聖エジディオ共同体が東京でシンポ 政治家・活動家ら死刑制度廃止訴え 2012年11月10日

 聖エジディオ共同体(本部ローマ)は、10月29日、東京都千代田区の東京イタリア文化会館で死刑制度に反対する政治家や活動家らによる国際シンポジウムを開催した。「No Justice Without Life (いのちなきところ正義なし)グローバル化した社会において、死刑制度へのさまざまな視点」を主題に110人が参加した。

 死刑制度は、今や世界的にも後退している。死刑存置国である日本では、今年9月にも2人が処刑されたばかり。シンポジウムでは、モラトリアムを求める意見が相次いだ。

 基調スピーチでは、マリオ・マラツィーティ(死刑制度に反対する世界連合副会長、聖エジディオ共同体)、ケート・ロワンスタイン(殺人被害者遺族の会、米国)、ハンス・ディートマル・シュヴァイスグート(駐日欧州連合代表部大使)の各氏が登壇。さらに元死刑囚のカーティス・マッカーシーさん(米国)による証言がもたれた。

 20年間オクラホマの監獄に収監されていたマッカーシーさんは、自身の生い立ち、若い頃にドラッグ常習者として多くの犯罪に手を染めていったこと、そしてマッカーシーさんにとって不利な証拠がねつ造され、それが冤罪に発展していったことを振り返った。

 「生きるべきか死ぬべきか……。収監され、20年間、生きるということに向かってたたかってきた。わたしの隣人がだんだん処刑されていった。獄でその人たちと知り合って、彼らに深い愛情をもつようになった。幸いにもわたしには、再審の機会が与えられた」。

 さらにマッカーシーさんは、「監獄にいたとき、複数の殺人を犯し皆に嫌われるような死刑囚にも優しく接している看護師がいた。わたしはその看護師に、その理由を問うと彼女は、『誰に対してというわけではなく、全ての命は大切だ』と答えた。この彼女のメッセージは、わたしを力づけるものとなっている」と話した。

 途中、教皇ベネディクト16世によるビデオメッセージが放映された。それは昨年11月、世界各国の法務大臣に向けたメッセージであった。

 日本での死刑制度廃止のために、福島瑞穂社民党党首(死刑廃止議員連盟副会長)、袴田事件の第1審元判事の熊本典道氏が登壇した。また、アムネスティ・インターナショナル日本、死刑を止めよう宗教者ネットワークなどの団体も参加した。

聖エジディオ共同体=1968年、創設。毎年諸宗教間の対話をめざして「平和の祈り」集会を開催している。70カ国に存在する。

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