立教大学で山倉文幸氏講演 〝進化プロセス通じ神の創造続く〟 「生命科学とキリスト教」 2013年1月19日

 立教大学キリスト教学会(佐藤研会長)と同大学キリスト教学研究科(竹原創一委員長)は、山倉文幸氏(順天堂大学医療看護学部教授)を講師に迎え、「生命科学とキリスト教」と題する公開講演会を12月8日、同大学池袋キャンパスで開催した。約40人が参加した。

 立教大学理学部化学科を卒業し、同修士課程を修了した山倉氏は、1973年から順天堂大学に助手として勤務し、05年に教授に就任。生物化学、活性酸素種・活性窒素種の生理生化学、生物無機化学を専攻領域としている。キリスト者でもあり、生命科学の研究者としての視点から進化論を中心に「科学とキリスト教の関わり」を論じた。

 同氏はまず、科学とキリスト教を巡り、「互いに相容れない」「それぞれ対象とする世界が異なるので共存する」「互いに対話・統合する」という三つの考え方があることを示した上で、自身の研究領域である「活性酸素の毒性と寿命・死の起源」について論旨を展開。

 酸素を利用するときに生じる活性酸素は生体成分を酸化して壊す働きがあり、多くの病気と関わっているという。生物は酸素を利用して多くのエネルギーを得ることで複雑な機能を獲得したが、その代わりに酸素による体細胞の老化が避けられず、体細胞の死を受け入れざるを得ないのだと主張した。

 最後に、「進化のプロセスを通じて、神の創造は続いている」という立場に立った上で、「まだ納得できないものが残っていると思う」と述べ、「高度な知性、精神、信仰を獲得する代償としての死は大きすぎるのではないか」「進化のプロセスを神が導いているとすれば、絶滅した種がなぜたくさん必要なのか」「天災や病気は人を選ばない。『悪と苦悩が存在するのはなぜか』という問題と呼応しているような問題ではないか」といった疑問を提示。ケノーシス神学、プロセス神学などを挙げて、科学の流れと神学とが呼応する可能性について言及した。

 竹原氏は、「居丈高にすべてを支配しきるような『全能』ではなく、自らを限定し得るような、『死』さえも受け入れるような新たな『全能』という理解を神学の中でも受け入れざるを得なくなってくる。それが今日の新しい神学の動きだと思う」とし、「それを単なる神学議論としてではなく、科学者の議論として示唆を与えられたのは大変興味深い」と感想を述べた。

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