成年後見制度とその可能性 「教会の課題として認識を」 日基教団東京・南市区 菅原力氏が講演 2013年2月9日

 高齢化に伴い、終末期を迎えた教会員の礼拝出席が困難になるなど、教会でもさまざまな問題が生じている。そこで、「成年後見制度」の理解と認識を高め、その可能性を模索しようと、日基教団東京教区南支区社会部(澤田竹二郎委員長)は1月27日、昨年に続き2回目となる講演会「安らかな信仰生活のために――成年後見制度とその可能性」を同教団田園調布教会(東京都大田区)で開催した。「教会の課題としての成年後見制度」を主題に、菅原力氏(同教団弓町本郷教会牧師)が講演。約70人が出席した。

 教会員や親戚の中に成年後見制度を利用する人が表れたことから、制度に関心を持つようになったという菅原氏。制度が必要とされる理由として、①在宅単身高齢者の増加、②身寄りがない、③親戚には頼める間柄ではない、④家族内の福祉機能の縮小、という4点を指摘した。

 さらに、成年後見が、生活上の「意志決定」や「財産管理」というプライベートな行為を他者に委託する制度であることに触れ、成年後見人に選任される人の割合が、この10年の間に家族から第三者(法律専門職、福祉専門職、市民後見人)に移行していることを指摘。「成年後見人になる人の資質がきわめて深く問われる」として市民後見人を育成する必要性を強調し、「成年後見制度はわたしたちが育てていかなければならない制度の一つ。この制度をどのように成熟した制度にできるかということが、これからの超高齢化社会の一つの課題」と述べた。

 最後に教会の課題として、現実に制度を利用している信徒がいること、今後制度の利用が求められるケースが増加することを挙げ、「教会の中の事柄となっていることをまず認識する必要がある」と主張。その上で、教会の中で制度について学ぶ機会を持つことを勧めた。「認知症の方々、自己判断ができない方々に寄り添って、対話しながらその人の意志決定に参画していくことは、まさにクリスチャンこそふさわしい」と述べ、今後信徒の中から市民後見人になる人が増えることに期待感を示した。

 また、後見人にはなれなくても、後見人の協力者となる人が必要だとも述べた。信徒・教職で相談の窓口となるNPO法人を立ち上げることについては、宗教が財産を狙っていると裁判所が判断する可能性があるとし、「ハードルが高い」と説明した。

 会場には専門職後見人の仏教徒の参加者もおり、「(NPO法人の立ち上げを)ぜひやっていただきたい。わたしのような人間をそのような場で活用してほしい。絶対的に市民後見人は必要になってくる。これからは専門職後見人が裏方にまわるような状況にならないと制度は動いていかない」と意見を述べた。

【メモ】
 成年後見制度=判断能力についての支援を必要とする認知症高齢者、知的障がい者、精神障がい者に対し、家庭裁判所によって選任された成年後見人がその「財産管理」と「身上監護」(生活全般にわたる契約行為)を支援する制度。

 「法定後見制度」は、事理弁識能力(契約等の法律行為を適切に行うための判断能力)を失った人に家庭裁判所が成年後見人を選任する制度で、本人の判断能力に応じて、「後見」「保佐」「補助」の三つに分かれている。

 「任意後見制度」は、事理弁識能力を失う前に、あらかじめ自分の後見人になってほしい人と任意後見契約を結び、事理弁識能力を失った後、家庭裁判所に成年後見人に選任してもらう制度で、「移行型」「即効型」「将来型」の3類型がある。

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