2月11日「信教の自由を守る日」 〝改憲〟の動き迫る中に訴え 札幌・仙台・東京・名古屋などで集会 2013年3月2日

 昨年末に安倍内閣が発足し、「国防軍」創設を訴え、改憲に意欲を示す中、2月11日を「信教の自由を守る日」として覚える集会が、今年も各地で行われた(東京・名古屋・大阪の模様は2面に掲載)。

◆札幌
 札幌キリスト教連合会信教の自由を守る委員会(久世そらち委員長)は、同市中央区の日基教団札幌北光教会を会場に、47回目となる「信教の自由を守る2・11札幌集会」を開催した。松坂克世氏(日本バプテスト連盟旭川東光キリスト教会牧師)が「その時、教会は?~信教の自由をめぐる闇と光」と題して講演し、約160人が参加した。

 松坂氏は、小泉元首相靖国神社参拝違憲訴訟原告のひとり。現在は、旭川で毎年開催されている「政教分離を守る北海道集会」の実行委員会事務局に携わっている。同集会は、旭川にある北海道護国神社の問題性を訴えている。

 講演では、同集会について紹介するDVDも上映。北海道護国神社の例大祭に自衛隊幹部が関わり、かつては地域の学校の生徒たちも動員するような行事が行われ、今もなお地域の神社行事に市長がかかわるなど、地域に根を張った「ヤスクニ」の問題性を示すとともに、そうした状況を受け容れる土壌として心の内にも内在する問題を指摘した。そしてヨハネ福音書1章5節の聖句によって、このような「闇」を照らす「光」があることを示し、今、改憲の動きが迫る中で教会が平和を訴え自由を守るために声をあげ足元の問題に取り組むことを呼びかけた。

 集会の後には例年のようにデモ行進を行い、雪まつりでにぎわう街頭で「信教の自由」「憲法改悪反対」を訴えた。デモには約40人が参加した。

 札幌キリスト教連合会は、札幌市内と近郊の教会・キリスト系教団体で構成される。「建国記念の日」が1967年2月11日に実施されたことに対し、戦前の「紀元節」の復活であり「信教の自由」の侵害につながると危惧する札幌市内の教会が教派を超えて集まったことが、同連合会の結成につながった。

◆仙台
 宮城県仙台市では、第39回目となる「2・11信教・思想・報道の自由を守る宮城県民集会」が開催され、約620人が参加した(靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議主催)=写真

 「憲法の危機と〝心の問題〟」と題して講演した精神科医の香山リカさん(立教大学教授)は、「自己責任、自立・自助という言い方で『努力しても成功できないのは本人のせいだ』という風潮が広がる中で、漫画家の小林よしのり氏が『行き過ぎた〈個〉を打破するためには、〈公〉を重んじ、天皇を中心とした国づくりが必要だ』と訴え、若者たちに絶賛された」と切り出した。

 「しかし、このようなナショナリズムへの傾倒は、精神医学の立場から見れば、不安定な状態から逃れたいという防衛メカニズムが働いているに過ぎない。バブル経済がはじけて以来、経済大国であるという誇りは失われ、終身雇用制など、これまで自分たちが拠り所としてきたものが崩れてしまった。その不安や弱さを正直に認めずに、天皇や日本国家といったものに自己の拠り所を求める姿勢は、精神医学的には『強者への同一化』であり、とても健全な解決法とは言えない。まして、そのような病理的な社会状況の中で憲法を変えようとすることは、非常に危険な道だ」と主張。

 さらに、不安や不満といった「ウイルス」が潜んでいるのを認めたくない気持ちはわかるが、「根本から病気を治さなければならない。それは、経済効率ばかりが重要視される社会の仕組みを変えるということ。貧困の解決を含めて、どうすれば一人ひとりの人間が大切にされる社会を作っていけるか考えていかなければならない」と訴えた。

 主催の「連絡会議」には、平和をつくり出す宗教者ネットinみやぎ、立正佼成会仙台教会、創価学会青年部宮城県憲法研究会、日本山妙法寺のほか、核兵器廃絶を願うキリスト者の会、カトリック正義と平和仙台協議会、仙台キリスト教連合、仙台平和を求めるキリスト者の会、仙台靖国法案阻止キリスト者連絡会、東北大学学生キリスト教青年会、日本キリスト改革派教会、日本キリスト教団東北教区社会委員会を含む47団体が加盟している。

 終了後、参加者は会場から仙台駅前までを行進し、「信教・思想・報道の自由を守ろう」「日の丸・君が代・元号を強制するな」「靖国神社公式参拝反対」「平和憲法を変えるな」と呼びかけた。

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