東京地裁 日基教団「免職」戒規訴訟 北村慈郎氏の主張退ける 2013年3月9日

 未受洗者への配餐を理由に日本基督教団(山北宣久総会議長・当時)から免職の戒規処分を受けた北村慈郎氏(前紅葉坂教会牧師)が、正教師の地位確認および1千万円の慰謝料などを求めて提訴した裁判で、東京地裁は2月25日、原告側の訴えをいずれも却下した。

 判決の理由は、「正教師の地位は宗教上の地位であり、法律上の地位ではない」「戒規に係る手続きの瑕疵の有無は、被告(日基教団)の教義、信仰の内容に立ち入ることなくして判断することができない」の2点。よって「不適法」であり、裁判所は審理できず「却下を免れない」とした。原告側が、戒規免職は正教師の地位(それに基づく牧師としての諸権利)を剥奪する「懲罰」行為だと訴えたのに対し、裁判所が「戒規は懲罰ではなく悔い改めを促すもの」という被告側の主張を採用して門前払いした形。

 判決後の報告集会で「支援する会」世話人代表の関田寛雄氏(神奈川教区巡回教師)は、かつて赤岩栄牧師が共産党への入党を宣した際に教団の指導者らが幾度も対話を求めたことを例に、現執行部の姿勢を「上意下達」と批判し、「合同教会であることの恵みを再確認したい。多様な証しが行われていい」と述べた。

 弁護団は「こうした判例が定着してしまえば、実質上、教団執行部や教師委員会が意に沿わない牧師を自由に処分できることになる」と強い懸念を表明。北村宗一弁護士は、「正教師がたとえ宗教上の地位であれ、社会生活上の権利や義務について問題があれば、司法が判断を下せるのではないか」と疑義を呈した。

 今回の判決を受けて、現総会議長の石橋秀雄氏(越谷教会牧師)は「戒規、免職はすべて教会法(教憲・教規)に基づいてなされたものであり、裁判所の判断を求めるものではない。宗教団体で紛争が生じた場合、自律権が尊重されてきた。本来教団内で解決していくべき問題を世俗法に訴えたことは、『信教の自由と自律』を脅かす暴挙であり、教団のみならず日本の宗教団体をも冒涜する行為と言わざるを得ない」とコメントを寄せている。

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