石巻市の外国人被災状況調査 東北学院大郭基煥研究室・外国人被災者支援センター 2013年3月9日

 東北学院大学郭基煥研究室と外国人被災者支援センター(佐藤信行センター長)は、「石巻市『外国人被災者』調査報告書」を発行した。東日本大震災で被災した自治体としては初の外国人被災者の実態調査となる。

 これは、石巻市在住の外国籍市民426人に対して、同市企画部市民協働推進課が郭基煥氏(東北学院大学経済学部准教授)の研究室と共同で昨年3月に郵送した「石巻市在住外国人の被災状況と多文化共生についてのアンケート」を集計したもの。アンケートの調査票は同研究室が作成し、日本語版のほかに、英語・中国語・韓国語・タガログ語・タイ語版を作成。92人から回答が寄せられた。

 回答者の年齢は20歳~75歳で、女性が85%を占める。出身国は「中国」(32%)、「韓国」(24%)、「フィリピン」(23%)、「米国」(4%)、「インドネシア」(3%)、「タイ」(3%)と続く。在留資格は、「永住者」(56%)、「結婚(日本人/永住者の配偶者等)」(24%)、「研修(技能実習生)」(8%)など。

 地震発生時、「津波が到達した」と答えた人は68%に上り、地震直後に津波を「(ほとんど、まったく)予想しなかった」人は7割に達した。防災無線について「聞こえなかった」「意味は(あまり、まったく)わからなかった」の合計は55%に上り、「津波を誰からも知らされなかった」人は29%であった。

 この結果について佐藤氏は、「今後の防災計画の中で綿密な対策が講じられる必要がある」と強調。また、生活についての情報を必要としている外国人が82%に上ることから、外国人被災者、特に移住女性が「生活情報」を知り、利用することが困難であると指摘。多言語による情報の発信を求めるとともに、自助組織を作る必要性についても言及し、自治体と市民社会がそれをサポートしていくことをテーマとして掲げている。

 アンケートの自由解答欄には、再度地震や津波が起こることを心配する声や、放射能に対する不安、収入の減少を訴える声が目立った。また、今後必要なこととして、「外国人と現地の方の間に、コミュニケーションをとれる機会をもっと増やしてほしい」など、交流の場を求める意見が多く寄せられた。

 アンケートは、「外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会」(外キ協)、「仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク」(東北ヘルプ)、「NPO法人笑顔のお手伝い」(NPO笑顔)の3団体によって昨年4月に仙台に設置された外国人被災者支援センターが集計作業を行い、郭氏と李善姫氏(東北大学法学研究科GCOEフェロー)が中心となって分析を進めた。

 回答者92人のうち、東北ヘルプ・NPO笑顔に支援を求めてきた39人に対しては、同センターが個別に面接調査と緊急支援を行った。

 昨年11月には同市で調査の報告会が開かれ、外国人住民を含む40人が、今後の夢を語り合った。同センターは12月から「外国人被災者支援プロジェクト」の第二期を開始。今回の調査を踏まえ、宮城県4市の外国人被災者に対するアンケート調査と面接調査を行う。また、「〈外国人被災者支援〉情報交流会」を定期的に開催していく。

 問合せは、同センター事務局(NPO笑顔内、℡022・297・1033)、または外キ協(℡03・3203・7575)まで。

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