「苦難に寄り添い前に向かう教会」 DRCnet、聖学院大、東京基督教大が合同シンポ 2013年4月13日

 東日本大震災救援キリスト者連絡会(DRCnet)、聖学院大学総合研究所、東京基督教大学は合同で3月27日、「東日本大震災国際神学シンポジウム いかにしてもう一度立ち上がるか これからの100年を見据えて」を東京都千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで開催した。主題を「苦難に寄り添い前に向かう教会」としたシンポジウムに、米国福音派系のフラー神学大学院のリチャード・マウ学長も講師として参加した。約170人の参加者を集めた。

(マウ学長と通訳する藤原氏)

 主題講演を行ったマウ学長は、米国神学校の高名な指導者であり現神学校協会(ATS)会長。教派間対話・宗教間対話にかかわり、改革派・カトリック対話の共同議長を6年間務めてきた。マウ学長は、「『神の忍耐の時』の中で、苦難の救い主に仕える」と題して語った。

 大学教員や宗教者によるパネルディスカッションでは、藤原淳賀氏(聖学院大学総合研究所教授)がコーディネーターを務めた。パネリストの伊藤悟(青山学院大学教授)、岡村直樹(東京基督教大学教授)、幸田和生(カトリック東京教区補佐司教)、藤掛明(聖学院大学准教授)の各氏がそれぞれ震災後の奉仕活動や、キリスト者として大震災をどう考察しているかを発言し、対話のひとときをもった。

 マウ学長はここでの発表を受けて「福音派の人間として、カトリックの司教(幸田和生氏)が『福音の分かち合いの大切さ』を言ってくれたことは大変ありがたいこと」「プロテスタント信徒は十字架に何もついていないシンプルなものを持つが、カトリック信徒のように、キリストが十字架につけられたものを持つことや、その事を思い出すことも必要だ。あの十字架にかかったというのは大変な苦痛なのだ」と述べた。

 午後には分科会が行われた。山口陽一氏(東京基督教大学大学院教授)は、「東北のハリストス正教会」とのテーマで論じた。

 山口氏は、東北における、明治期と昭和の正教会所在地マップを用いながら、ニコライの東北伝道の旅について紹介。その上で、ニコライは欧米の宣教師とは比較にならないほど日本に学び適応を試みたことを話した。

 正教会にとって大切なものであるパニヒダ(追善供養)は、「先祖供養という要素を除いて、生きている者の信仰、世代をつなぐ信仰の警鐘のために、参考になる」と語った。

 「福音主義のプロテスタント信仰に立つ教会が、首都圏あるいは仙台・盛岡でもなく、三陸の山間地や沿岸部に定着できるかどうかは、日本における福音の浸透の指標であるに違いない」とし、1881年のニコライの旅は、「100年先を見据えた歩みのために、示唆と励ましを与えている」と結んだ。

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