平山正実氏らが提唱 自死遺族等の名誉と尊厳守る 権利保護法制化目指し東京でシンポ 2013年4月20日

 「自死遺族等の権利保護シンポジウム――個別的解決と立法的解決・課題」が3月26日、衆議院第二議員会館(東京都千代田区)で開催された。全国自死遺族連絡会と自死遺族等の権利保護研究会が主催したもので、約80人が参加した。実行委員長を務める精神科医の平山正実氏(認定NPO法人グリーフケア・サポートプラザ特別顧問、聖学院大学大学院教授)は、自死への偏見差別に苦しむ自死遺族等(自死者および自死未遂者の親族等並びに自死未遂者)の権利保護法制化を提唱している。

 平山氏は2009年、自殺対策基本法第9条の「法制上の措置」に着目し、「自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族の二次被害者保護法」(仮称)の制定を提唱。法制化を目指すにあたり、自死遺族が先頭に立って運動を展開すべきとの考えから、全国自死遺族連絡会が事務局を担い、翌年から法制化署名運動を展開してきた。

 同会はまた、法律専門家等による「自死遺族等の権利保護研究会」を設立し、自死(遺族)等への差別問題について法的検討を行うとともに、訴訟や和解など具体的な支援活動を行っている。

 こうした運動を広く社会に訴えるために企画された今回のシンポジウム。司法書士の斎藤幸光氏がコーディネーターを務めたパネルディスカッション「自死遺族等の権利保護法制をめぐって」では、平山氏をはじめ、田中幸子(全国自死遺族連絡会世話人)、片山朗(内閣府自殺対策推進室参事官)、山田創一(専修大学法科大学院教授)の各氏が発言した。

 平山氏による法制化要求の趣旨に賛同した斎藤氏は、法律案の名称を「自死遺族等支援法」(仮称)とし、具体的な条文案を提示した。「自死は個々の問題だけではなく、社会的な問題が大きく関わっている」とし、「その認識があれば、自死を防ぐことが国の責務になっていくのは当然のこと。防げなかった時にどうすべきかということも、国が法律という形で明らかにすべき」と述べた。

 参加者の中から聖学院大学学長の阿久戸光晴氏が発言。支援法について、「自死をどうやって食い止めるかということと、自死という現実が起きてしまった後の遺族の援助という両方の課題を、一つの理念にまとめながら基本対策として出すことが課題だろうと思う」とし、「自死に追い込まれるという危機は人間であれば誰にでもあり得るという前提のもとで、『いのちの尊厳』ということから、この基本対策を考えていくべきではないか」と提言した。

 自死について「勝手に死んだ」「自己責任だ」とする声に対して、どのように啓蒙していったらよいのか。斎藤氏からのこのような問いかけに平山氏は、「自死は関係性の中で起こってくるのではないか。責任ということになれば、社会、地域、共同体の中の連帯責任ではないか」と応答。

 また、「まだ日本では差別と偏見が根強いので、簡単にはいかないかもしれないが、忍耐強く運動を進めていきたい」と主張。「人間は誰でも平等である。人格を持った存在であり、尊厳と名誉を持った存在である。そのような視点に立って、遺族や亡くなった方の名誉と尊厳を守っていくという理念に基づいて、法制化を進めていきたい」と訴えた。

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