2012年に1200万部 中国から聖書が世界へ 2013年5月4日

キリスト教、特に「家の教会」への抑圧ニュースが流れることもある中国で、聖書印刷が2012年には1200万部になったことに英週刊誌『エコノミスト』が着目、「初めに表意文字があった」と題する記事をこの3月30日号に掲載している。

 現在、中国のキリスト者は全人口の5%、6700万人と米国の調査機関「ピュー・リサーチ・センター」。1億人との推定もあり、そうなると中国共産党の党員約8200万人とほぼ同数のキリスト者が存在することになる。

 公認キリスト教組織「中国基督教協議会」が南京で運営している「愛徳基金会」が聖書協会世界連盟(UBS)の支援を受けて聖書やキリスト教文書の印刷所「愛徳印刷所」を設けたのが1988年。初年度に印刷した聖書は50万部だったが、08年の北京五輪前に完成した新印刷所は、今では従業員600人、年間で1800万部の聖書を印刷出来るまでになった。言語も中国語だけでなく英語、スワヒリ語、ズールー語、ロシア語など90以上になり、点字版も印刷可能という。『エコノミスト』誌は、昨年達成した1億冊目の記念聖書が印刷所のロビーに展示されている、と報じる。

 世界教会協議会(WCC)の国際関係教会委員会が12年6月に上海と南京で開催された際、愛徳印刷所を訪問したオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事には、8千万冊目の聖書が贈られている。

 中国で聖書を印刷、出版しているのは「愛徳印刷所」だけ。中国人に聖書を供給したいとの願いで設立された印刷所が、独占と低コストの上に聖書輸出で利益を得ている、との批判もあるとエコノミスト誌。

 11年に印刷された聖書の約3分の2は輸出されていると見られる一方、国内販売は年間で約400万冊と横ばい。これでは中国の増大するキリスト者には聖書が十分に行き渡っていないのではないか、という批判も出ている。聖書を持てない中国のキリスト者のために「聖書密輸」をしようと、一般渡航者にまで協力を求めていた状況は今どうなっているのか。

 三自愛国会が、聖書販売を「公認教会」5万5千カ所に限定していると指摘するのは、米国に本拠を置く中国のキリスト教抑圧監視団体「対華援助協会」のボブ・フー会長。キリスト者が聖書を買おうにも、数十万カ所あると見られる「地下教会」には愛徳印刷所の聖書は出回らないと言う。

 「地下教会」と言っても、公認教会と会員が重なっている所や、公然と活動している所もあり、その境界はあいまいになりつつある。当局は非認可の「地下教会」に登録を求めているが、当局の管理を嫌って非認可のままでいる教会も多い。

 『エコノミスト』誌は、米国のキリスト教団体「アジア・ハーベスト」のポール・ハッタウエー氏が、90年代末から行っている聖書密輸を紹介している。これまで「家の教会」の組織を通じて配布した聖書は600万冊を超えた。

 同誌は最後に、安徽省の「ミスター・ルー」の話を紹介している。今では「家の教会」指導者の同氏は、事態が完全に良くなったわけではないが、90年代半ばから聖書を手に入れやすくなり、今では自分の周辺の「家の教会」の会員は皆1冊は聖書を持っている、と言う。それは皆「愛徳印刷所」発行のものだそうだ。(CJC)

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