DRCnetが震災証言集会 「フクシマの声を聴く」 2013年5月18日

 東日本大震災救援キリスト者連絡会(DRCnet、中台孝雄会長)は4月27日、お茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)で東日本大震災証言集会「フクシマの声を聴く」を開催した。『フクシマのあの日・あの時を語る~石ころの叫び~』(福島県キリスト教連絡会編、いのちのことば社)の出版を記念したもので、執筆者の中から、木田惠嗣(ミッション東北郡山キリスト福音教会牧師、福島県キリスト教連絡会代表)、後藤一子(日本同盟基督教団相馬キリスト福音教会前牧師、巡回教師)、久場祥子(保守バプテスト同盟北信カルバリー教会牧師夫人)の3氏が証し者として現状を報告した。約80人が出席した。

 「福島の放射能汚染の現状と課題」と題して報告した木田氏は、福島を表す三つのキーワードとして「不安」「分断」「麻痺」を挙げた。

 放射能による暮らしや食べ物への影響について、ある人は大丈夫と言い、ある人は危険だと言う状況について、「一体何を信じてよいのか分からない。これがわたしたちの正直な気持ち」と心情を明かした。

 また、さまざまな意見が噴出することで、今まで平和だった家庭や地域の中に亀裂が生じていると指摘。男性と女性、若者と高齢者では放射能に関する考え方が異なっており、保証金をもらえる人とそうでない人、放射能の影響を心配して他地域に避難した人と現地に留まった人との間にも分断が起きていると述べた。

 さらに、震災直後は子どもたちにマスクや帽子の着用が徹底されていたが、2年経ち、そうした姿が稀になり、外で遊ぶ子どもたちが増えていると指摘。

 放射線量について、個人で計測した数値よりもモニタリングポストの数値が低いことを示し、不安や疑いが生じる原因になっていると分析。今もなお福島に原発が存在することが、不安や恐れの原因であるとも述べた。

 同氏が代表を務め、被曝量の軽減を目的に、子どもたちに保養プログラムを提供する「ふくしまHOPEプロジェクト」のようすも紹介した。

 久場氏は、写真を使って除染の状況を説明。「今でも避難を考えている人は多くいる。迷いながら生活している。今も原発からは大量の高濃度汚染水が土壌に漏れ出して、福島の土が汚染され、カバーのない建屋から放射性物質が拡散していく」と現状を語り、「目に見えない不安と戦っている。このいろいろな状況から動くことのできないジレンマとストレスにさらされている」と訴えた。

 同書の編集責任者である住吉英治氏(日本同盟基督教団勿来キリスト福音教会牧師)は、「震災から1週間、2週間くらいのことをとにかく書き留めておこう、そしてそれを多くの方々に知っていただきたい、後世にも伝えていかなければならない、という思いで取り組んだ」と同書に込めた思いを語った。また、「福島では自殺をする人が増えている。自殺予備軍もたくさんいる」と述べ、祈りと支援の継続を呼びかけた。

 福島県キリスト教連絡会は、同県内の教会・団体の交流、情報交換、災害時の支援などを呼びかける機関。2011年11月設立。

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