【映画】「嘆きのピエタ」 無償の愛、人間的感情に目覚める 2013年5月25日

 生まれてすぐに親に捨てられた男の生業は借金取り。債務者に、障がいとなるほどの重傷を負わせ、その保険金で借金を返済させている。容赦ないやり方に、「金で人を試す悪魔」と呼ばれている。

この男のもとに、ある日、母親だと名乗る女が現れ、赦しを請う。真っ赤なロングスカートと緑色のショールをまとい、どこをとってもミステリアスだが、聖母のような神々しい一面も漂う。 

作品名のピエタ――。それは、死んで十字架からおろされたキリストを胸に抱く聖母マリア像をさす。慈悲深い母の愛の象徴である。

冷酷無比のろくでなしが、女から無償の愛を受け、人間的な感情に目覚めていく。

目を背けたいのに目が離せない過激な描写、二転三転する展開、そして、“贖罪”を描いた衝撃的ラストシーンには、言葉を失いかねない。観る者は、緊張感途切れることなく、キム・ギドク監督の世界に引きずり込まれるだろう。

本作の主な舞台は、昔ながらの町工場が並ぶ清渓川(チョンゲチョン)。都会の金融街に押されて、町工場が消えていく町並みに、資本主義の犠牲、経済的な理由で人々が傷つけられていることに対する監督のメッセージが汲み取れる。

6月15日(土)より、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開

©2012 KIMKI-duk Film

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