映画「爆心 長崎の空」 〝土地の記憶によって人々の優しさ生まれる〟 2013年6月8日

 5月14日、東京都港区のスペースFS汐留で映画「爆心 長崎の空」の舞台挨拶つき完成披露試写会が行われ、主演の北乃きい、稲森いずみ、柳楽優弥、宮下順子、主題歌を担当した小柳ゆき、日向寺太郎監督の各氏が登壇した=写真。

 本作は、現・長崎原爆資料館館長で、『聖水』で芥川賞を受賞した青来有一氏の短編集『爆心』を、実写映画「火垂の墓」で高い評価を得た日向寺太郎監督が映画化したもの。

 キリスト教信仰が根ざす長崎を舞台に、母を亡くした子と、幼い娘を亡くした母が出会い、希望を見出していく物語を描いた。

 仙台出身の日向寺監督は、6つの短編で成る原作の「貝」と「鳥」の2編を軸に構想し、脚本作りに時間をかけたことを明かした。本作の企画は2010年に持ちあがっていたが、「3・11後につくるべき映画とはどういうものであるべきか、考えながら作った。震災以後を生きるわたしたちの物語になっているのではないかと思う」と振り返った。

 また、「『長崎の人は優しい』と訪れた多くの人が言うが、なんでだろうと思っていた。鎖国、キリスト教、被爆地……いろいろ考えた。そしてそれらは全て長崎の土地の記憶ということだと。土地は人間を作ると言われるように、長崎の土地の記憶によって、人々の優しさが生まれてきているのではないかと思った。そして、人を信じるという物語を描いたつもりだ」と作品に込めた自身の思いを述べた。

 北乃氏は、被曝3世の大学生・門田清水役を演じた。「清水は、被曝ということを気にせずに生きるまっすぐで純粋な女の子。どこにでもいるキャラクターだが、改めて普通を普通に演じることの難しさを感じた。出来上がった作品を見て、こういうノンフィクションが実際にあったんだなというような印象ももった」。

 柳楽氏は、脚本をはじめて目にしたときのことを「戦争によってできた傷跡を僕らの世代以降も決して忘れてはいけないと改めて感じさせられた」と感想を述べた。

 主題歌「ひまわり」を担当した小柳氏は、「映画のために今回はじめて作詞した。監督に思いを聞いたうえで書いた。受け継いでいくべきものを抱えながら、ひまわりのように大地に根付き、上を向いていけたらいいなという思いも込めた」と述べ、新曲を披露した。

 本作は、7月13~19日、岩波ホール特別プレミア上映、7月20日、東劇ほか全国ロードショー。

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