東京キリスト教神学研究所が講座 「分かりやすいキリスト教神学」 2013年6月15日

 初心者から研究者まで、広くキリスト教神学の学びと研究の場を提供しようと、東京キリスト教神学研究所(東京都杉並区、八木雄二所長)が「分かりやすいキリスト教神学」と題する講座(全6回)を開始した。『イエスと親鸞』(講談社選書メチエ)、『天使はなぜ堕落するのか』(春秋社)などの著者である文学博士の八木氏が講師を務め、サンパウロ宣教センター(東京都新宿区)を会場に、10月まで毎月1回開催される。

 1回目は5月22日、「血みどろの磔刑(裁き)と神の受肉(救い)~キリスト教会が考えている救いの道」をテーマに行われた。

 八木氏は、「キリスト教徒になっている人の多くが割とインテリ。別の言い方をすればヨーロッパナイズされている」と述べ、「そのことが日本のキリスト教徒の人たちを少数のものに終わらせている一つの理由なのではないかという気がしている」と主張。

 自身はキリスト者ではないと前置きし、「神学は、キリスト教というものが世界の中で見出してきたものについて、それを論理化していく過程の中で、説明できることがどこまでかを見極めようとしている。イエス・キリストに寄り添っているわけではない。あくまでも人間の理性の力を発揮していくということ」とし、「隣人愛」や「救い」は神学の対象にはならないと強調。「人を救う」ことは教会の役目であって、神学の役目ではないと述べた。

 また、信仰のあるなしに関係なく、意見交換し、互いに学び合うことが重要だとし、「日本人にとっても救いとなるキリスト教というものがどのような形を現してくるか、今ここで予想するのは良くない。むしろ、キリスト教に関わる経験を持っている人たちが、自分はなぜクリスチャンになったのか、どこで救いを感じたか、話し合って初めて分かる」と語った。

 「日本人から見たキリスト教の本質とは何なのか。果たしてイエスが十字架にかかったことが本質なのか」と訴え、「キリスト教の本質を見出す時に、日本人の感覚の中で、『キリスト教のどこに感動するのか』といったことをはっきりさせていくべきではないか。『十字架にかかったキリストに感動しなければいけない。そうしなければキリスト教はない』というような発想が、むしろキリスト教が持っている豊かさを潰していると思える」と主張した。

     ◇

 講座の第2回は6月19日、「教会制度と信仰~ローマ帝国の神聖化と地上のヒエラルキー」をテーマに行われる。3回目以降は、7月17日、8月21日、9月18日、10月16日の予定。時間は午後6時半~8時半。参加費は各回500円。問合せは、Eメール(thankyoujesus@helen.ocn.ne.jp)、もしくはホームページ(http://theology.hp-ez.com/)まで。

 

【メモ】
 東京キリスト教神学研究所=顧問の坂口昻吉氏(慶應義塾大学名誉教授)が、日本でフランシスコ会の神学を広めるために、1983年に「東京ボナヴェントゥラ研究所」を設立したことに始まる。シンポジウムや講演会、研究会を定期的に開催し、「ボナヴェントゥラ紀要」を公刊してきた。

 その後、2006年に「東京フランシスカン研究会」として、坂口氏および前川登神父(フランシスコ会日本管区第4代管区長)、福田誠二神父(聖マリアンナ医科大学前教授)に活動が受け継がれ、業績は『フランシスカン研究』にまとめられた。また教文館の依頼を受け、ファーガス・カー著『二十世紀のカトリック神学――新スコラ主義から婚姻神秘主義へ』、L・S・カニンガム著『カトリック入門』を翻訳。現代の神学を含めキリスト教神学全般を研究するようになった。

 こうした活動の中で、自らの研究達成を目指すだけでなく、キリスト教神学および哲学、思想を一般の人々に分かりやすく提供しようと、特定の教派に偏向しないことを旨として、12年12月に「東京キリスト教神学研究所」に改称。当初から活動に参加していた八木氏が代表に就任し、今年の5月から活動を開始した。

宣教・教会・神学一覧ページへ

宣教・教会・神学の最新記事一覧

TO TOP