日本クリスチャンアカデミー関東・今日的課題プログラム 中島浩籌氏「死・いじめを読み解く」 2013年7月6日

 日本クリスチャンアカデミー関東活動センターは、6月8日、定期的に催している今日的課題プログラム「死・いじめを読み解く」を日本キリスト教会館(東京都新宿区)で開催した。講師は、東京YMCAオープンスペースLIBY運営委員の中島浩籌氏。死と「いじめ」の関係、「いじめ」と心理主義などを中心に語った。そして「いじめ」への対応で生じてくる問題点について語り、その後ディスカッションの形をとった。

 中高生の自殺は年間300人前後で、昨年から増えているという。中島氏によると、高校教師をしていた1980年代から、いじめがクローズアップされ始めた。さらに90年代以降、同氏が非常勤で教えるようになってからは、「生徒たちをグループごとに分けて討論してもらうことが難しくなってきた。仲間はずれになる子どもが出てきて、自由にグループをつくりなさいと教えることがどんどん難しくなってきた」と、その体験談も明かした。

 1990年代後半から河井塾コスモやYMCA、フリースクールなどで教えるようになった中島氏は、「不登校の原因は、いじめだけではなく人間関係。いじめが直接の原因になることは少ない」と分析。さらに、「いじめに遭わないようにコミュニケーションスキルを磨こうとすること自体が『自己否定』につながるのではないか」と問うた。

 元教員という参加者からは、「セクシュアルマイノリティの子どもは、『学校が一番辛い』と言う。トランスジェンダーの男性にとっては『制服文化』が何より辛いものだ。毎年かならずといっていいほど、そういう子がいる」と述べた。またいじめる側である子どもについては、「13、14年しか生きていない子どもが強者で、家来のようなお付きがいたりするということは、いじめっ子の親の論理から始まるものだ。学校側は、いじめっ子の親の考え方までは変えられないが、いじめっ子である生徒の考え方はどうにかすることができる」。

 また中島氏が「自殺」予防に対して医療や心理学の観点から対応することには限界があると触れたことに、ある参加者からは、「医者にみてもらっても直らないのが実情。そうした問題について現代社会は、『心理』や『医療』の世界に流れている風潮だが、現場にいる人たちは、どういうふうに受け止めているのか」といった意見もあった。

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