「福音主義とは何か」 日本福音主義神学会東部部会が研究会 2013年7月13日

 日本福音主義神学会東部部会(大坂太郎理事長)は6月17日、「福音主義とは何か――我々は何処から来たのか(1)」と題する春期研究会をお茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)で開催した。

 青木保憲氏(日本福音ペンテコステ教団京都福音教会京都中央チャペル牧師)=写真左、藤本満氏(イムマヌエル綜合伝道団代表、高津キリスト教会牧師)=写真右=がそれぞれ「アメリカ福音派研究の実際――アメリカと日本の対比から」「福音主義の特色――その胎動期にあって」と題して講演した。会員を中心に約70人が出席した。

        

 昨年6月に『アメリカ福音派の歴史――聖書信仰にみるアメリカ人のアイデンティティ』(明石書店)を上梓した青木氏は、「アメリカにおいては、福音派研究があまりにも多すぎて、分類するだけでも一つの研究分野になる」と述べ、反対に日本ではまとまった形での歴史研究がなされていないことを指摘。

 その上で、米国では「エヴァンジェリカルズ」という言葉が、1870年代までの「プロテスタント教会」と、1960年代以降の「保守的信仰を持っていた集団」の二つを指す言葉になっていることを指摘。また、「ファンダメンタリスト」という言葉も、1920年代に神学的論争を展開した集団と、80年代以降に同性愛や中絶問題を政治的に解決しようとした集団の二つを指す言葉になったことを示し、これらの意味が米社会にきちんと浸透しておらず、混同されている現状を解説。これを踏まえ、1960年代以降の米国と日本の福音派研究を概観した。

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 藤本氏は、現在の福音派が二つのルーツを持ち合わせていると指摘。一つは16世紀の宗教改革、もう一つは18世紀の信仰復興運動。

 前者は福音主義を「プロテスタント内で、宗教改革における聖書主義と『恵みの故に信仰のみによって救われる』との教えを強調する、プロテスタントの正統派グループ」と定義づけ、後者は「プロテスタント内で、敬虔な信仰と生活を実践し、外に向かっての愛と伝道の信仰的発露を希求するグループ」と定義づけると解説した。

 前者を重視した場合、国教会的な枠組みを宣教地である日本の開拓教会に当てはめると、「本来福音主義が持っている活力を失うであろう」と指摘。後者を重視した場合は、「福音主義は神学的に根のない、場当たり的で、教会の公同性、歴史性が見えないような信仰集団と化してしまう」と指摘した。

【メモ】
 日本福音主義神学会=聖書の十全霊感を信じる福音主義キリスト教の立場に立つことを共通の教義とし、教会の健全な成長と発達のために奉仕することを目的として1970年創立。学会誌『福音主義神学』、ニュースレター『福音主義神学会ニュース』を発行している。東部、中部、西部の三つの部会を持ち、現在の会員数は約450人。

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